US Top 40 Singles Week Ending 22th August, 1970(Best10)

ラジオ

ラジオのトップ・フォーティーを聴きながら

僕はソファーにもう1度寝ころんでラジオのトップ・フォーティーを聴きながら10分ばかりぼんやりと天井を眺め、
そしてシャワーに入り熱い湯で丁寧に髭を剃ると、
クリーニングから戻ってきたばかりのシャツとバミューダ・ショーツを着た。
気持ちの良い夕方だった。
僕は海岸に沿って夕陽を見ながら車を走らせ、
国道に入る手前で冷えたワイン二本と煙草のカートン・ボックスを買った。

―村上春樹,風の歌を聴け

プール通いですっかり赤く焼けた顔を、
カーマイン・ローションで冷やしている最中に電話が鳴る。

ジェイズ・バーで小指のない女の子と今度は約束をして会った僕、
彼女からビーフ・シチューを食べに来ない?というお誘い。

『一時間で来て。もし遅れたら全部ゴミ箱に放り込んじゃうわよ。わかった?
 彼女はそう言うと、僕が口を開くのも待たずに電話を切った。』

その後の僕はソファーにもう1度寝転んで、
ラジオのトップ・フォーティーを聴く。

ラジオのトップ・フォーティーっていうのは、
多分『American Top 40』のことだろう。

1970年7月4日に3時間番組として放送を開始、
初代DJは『Voice of America』のケイシー・ケイサム。

記憶違いでなければFEN(Far East Nework)在日米軍ラジオ放送、
今のAFN(American Forces Network)で流れていたはずだ。

この頃の『American Top 40』で流れていた曲はどんな曲だろう?
1970年8月22日のトップ10はこうだ。

US Top 40 Singles Week Ending 22th August, 1970

01 Make It with You – Bread
02 (They Long to Be) Close to You – The Carpenters
03 Spill the Wine – Eric Burdon and War
04 War – Edwin Starr
05 In the Summertime – Mungo Jerry
06 Signed, Sealed, Delivered I’m Yours – Stevie Wonder
07 Patches – Clarence Carter
08 Band of Gold – Freda Payne
09 I Just Can’t Help Believing – B.J. Thomas
10 Tighter, Tighter – Alive and Kicking

気持ちの良い夕方、
プールで泳いで少し怠い身体をソファに預けて聴く音楽としては悪くない。

Bread – Make It with You

ブレッドの『Make It with You』は、
デヴィッド・ゲイツが書いた曲でアルバム『On The Waters』に入っている。

好んでわざわざ聴くことはないけれど、
ラジオから流れてくる分には何も邪魔をしない。

I really think that we could make it, girl

キミとだったら乗り越えられるって本当に思うんだ

The Carpenters – (They Long to Be) Close to You

カーペンターズの『 (They Long to Be) Close to You』、
バート・バカラックとハル・デイヴィッドが書いた曲。

元々は1963年にリチャード・チェンバレンが最初に吹き込んでいて、
その後も数多くカバーされている。

ここでは2位だけど、
American Top 40ではその前の4週連続1位だった。

なんだかんだ言って、
この曲はカーペンターズのアレンジと歌声が1番良いとボクは思う。

Just like me, they long to be
Close to you

まるで私みたいに
みんなあなたの傍に居たいんだわ

Eric Burdon and War – Spill the Wine

エリック・バードン&ウォーのデビュー・シングル『Spill the Wine』、
バードンの他にウォーのメンバーが曲のクレジットに名を連ねている。

この曲は、
イントロからしてかなり良い感じ。

そして、
途中で聞こえてくるバードンの友人のスペイン女性の喋りが妙に印象に残る。

Spill the wine and take that pearl

ワインをこぼしてその真珠を手に入れなさい

Edwin Starr – War

エドウィン・スターの『War』は、
1969年にノーマン・ホイットフィールドとバレット・ストロングがモータウン・レーベルのために書いた曲。

元々は、
テンプテーションズのアルバム『Psychedelic Shack』に入っている曲。

ただいろいろと大人の事情で要望の多かったシングル・リリースは実現せず、
その代わりにエドウィン・スターが吹き込んでリリースしたもの。

まあ聴き比べれば、
明らかにエドウィン・スターのバージョンの方が断然良い。

(War, what is it good for?)
Absolutely nothing

戦争なんかやって何か良いことなんてあるかよ?
あるわけねえだろうよそんなもん

Mungo Jerry – In the Summertime

マンゴ・ジェリーの『In the Summertime』は、
リード・シンガーのレイ・ドーセットがタイメックス社の研究室で働きながら作詞・作曲したもの。

この人って見た目がなかなかで、
だから歌詞だってまさにこの人が書きそうな感じでこれがまた良いのだ。

In the summertime when the weather is high
You can stretch right up and touch the sky

お天気最高のサマータイム
まっすぐ手を伸ばせば空にだって触れちまうのさ

Stevie Wonder – Signed, Sealed, Delivered I’m Yours

スティーヴィー・ワンダーの『Signed, Sealed, Delivered I’m Yours』は、
スティーヴィー・ワンダーが20歳にして初めてプロデュースした曲。

リー・ギャレットと当時の恋人で後に結婚するシリータ・ライト、
彼の母親ルーラ・メイ・ハーダウェイも曲のクレジットに名を連ねている。

Signed, sealed, delivered, 
I’m yours, I’m yours

宛先が書かれハンコが押され届けられるのさ
僕は君のものだよ

Clarence Carter – Patches

盲目のミュージシャン、
クラレンス・カーターの『Patches』はカバー曲。

歌詞がね、
泣かせるのだ。

Patches, I’m dependin’ on you, son
I’ve tried to do my best
It’s up to you to do the rest
I can still hear Papa, what he said

つぎはぎ坊主 オレはオマエをあてにしているんだよ
オレはオレで最善を尽くすさ
だからあとはオマエに任せたからな
パパの言ったことが今でも聞こえてくるのさ

オリジナルはチェアマン・オブ・ザ・ボード、
1970年リリースのデビュー・アルバム『The Chairmen of the Board』に収録されたもの。

バンドのジェネラル・ジョンソン、
ロン・ダンバーによって書かれていてオリジナルがなかなか良い。

Freda Payne – Band of Gold

フリーダ・ペインの『Band of Gold』、
エディス・ウェインとロン・ダンバーが書いている。

エディス・ウェインとロン・ダンバーは、
ホーランド=ドジャー=ホーランドのこと。

ホーランド=ドジャー=ホーランドは、
エディ・ホーランド・ジュニアとブライアン・ホーランドとラモント・ドジャーの3人。

モータウンを離れたあとはホーランド=ドジャー=ホーランドは使えなくて、
エディス・ウェインとロン・ダンバーとクレジットしている。

なかなか面白い歌詞で、
夫が愛することができない(ゲイだから?)結婚したばかりの女性の物語という感じか。

But that night of the honeymoon
We stayed in separate rooms

だけどハネムーンの夜
私たちは別々の部屋にいた

B.J. Thomas – I Just Can’t Help Believing

B・J・トーマスの『I Just Can’t Help Believing』は、
バリー・マンとシンシア・ワイルによって書かれた曲。

エルヴィス・プレスリーがカバーしているけど、
そもそもこの曲は1968年にバリー・マンがリリースしているのが最初だ。

This time the girl is gonna stay
For more than just a day

今度こそそのコは居てくれるだろう
せめて1日以上は

Alive and Kicking – Tighter, Tighter

アライブ・アンド・キッキンの『Tighter, Tighter』は、
ボブ・キングとトミー・ジェームスによって書かれた曲。

少し飽きてきたなと思ったら、
これが最後だった。

良かった良かった、
やはり或る日のベスト10とは言っても段々と聴くのが苦痛になってくる。

でもまあ流している分には、
何の問題もない。

Hold on, a just a little bit
Tighter now, baby

もう少しだけ諦めずに
頑張ってほしいんだ

【風の歌を聴け】で流れる他の音たちはこちら!

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