口笛で吹く『パリアッチの序曲』

オペラ

Pagliacci(道化師)

僕はわきの下の自動拳銃の重みをたしかめ、サングラスをかけ、
「パリアッチ」の序曲を口笛で吹きながら家のまわりをぐるりと一周した。

村上春樹-シドニーのグリーン・ストリート 12

ここに出てくる『パリアッチ』の序曲は、
ルッジェーロ・レオンカヴァッロの唯一今でも上演されるオペラ『Pagliacci(道化師)』の序曲なんだろう。

ピエトロ・マスカーニ『Cavalleria Rusticana(カヴァレリア・ルスティカーナ)』と共に、
いわゆるヴェリズモ・オペラの代表作と言われている。

ヴェリズモ(verismo)はイタリア語で、
訳すと真実主義、現実主義、写実主義といった感じになるのかな?

この手のオペラをボクは観たことがないのでよくわからないけれど、
街の人々の日常生活や残酷な暴力などの描写が出てくるようなものらしい。

この『Pagliacci(道化師)』も、
愛憎と嫉妬のもつれの果ての田舎の殺人事件を描いた物語なのだ。

オペラとは言っても、
全2幕で一時間半もかからない短いものになっている。

もともとはコンクールに応募するためにつくったみたいだけど、
このコンクールには一幕ものという基準があったのにもかかわらずなぜか二幕ものになっている。

そうなれば当然落選する。

出来栄えに自信があったからそれくらい大目に見てくれるんじゃね!と思ったのかどうかは知らないけれど、
そんなわかりきったことを敢えてだとは思うけど何故そうしたのか?はわからない。

ただ結局は内容が良かったので、
当時25歳のトスカニーニが初演して大成功を収めている。

そんなオペラの序曲を口笛で吹きながら調査をする私立探偵、
なかなか悪くないけどこれを口笛で吹くのは結構難しいだろうね。

オペラの曲を口笛で吹くことなんてあるだろうか?と考えてみると、
確かに何曲かはある。

もちろんわきの下の自動拳銃の重みをたしかめ、
サングラスをかけて吹くようなことはないけど。

Gloria all’Egitto, ad Iside

例えば、
ヴェルディの『Aida』第2幕第2場で演奏される『Gloria all’Egitto, ad Iside(凱旋行進曲)』なんかは時々口笛で吹いていることがある。

エジプトが戦争で勝利して、
指揮官のラメダスが凱旋するシーンで場がれる超有名曲だ。

サッカー好きとしてはこの曲を外すわけにはいかないわけで、
この曲がサッカー関連で使われたのはヴェルディが生まれたイタリアのパルマFCの応援歌が最初じゃあないかな?

日本代表チームの応援歌にもなっているからね。
流れると自然にテンションが上がる。

Die Zauberflöte

あとはモーツァルトの『Die Zauberflöte(魔的)』の第二幕の最後で唄われる
『Pa-pa-pa-pa-Pagena!(パパゲーノとパパゲーナの二重唱)』とかね。

パパゲーナを探し出せないパパゲーノは、
首を吊って死んでしまおうとする。

そこに現れた3人の童子たちに教えられた通りに銀の鈴を鳴らすと、
パパゲーナが現れて2人はめでたく夫婦になるって場面で唄われる。

あと同じ二幕で唄われる夜の女王のアリア、
『Der Hölle Rache kocht in meinem Herzen(復讐の炎は地獄のように我が心に燃え)』とか…。

実は意外に口笛でオペラの曲を吹いているかもしれない、
と今初めて気付いた。

Ruggero Leoncavallo – Pagliacci

というわけで、
まだ1度も口笛で吹いたことはない『Pagliacci(道化師)』の序曲をカラヤン指揮のミラノ・スカラ座管弦楽団で聴こうかな。

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On A Slow Boat To China
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