口笛で吹くバッハの『主よ、人の望みの喜びよ』

パイプ・オルガン

Herz und Mund und Tat und Leben

僕はバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」を口笛で吹きながら、
いったいどうすればいいのか考えてみた。

村上春樹-シドニーのグリーン・ストリート 12

羊男に頼まれて羊博士のところへ、
羊男の耳を取り戻すために向かう探偵。

ルッジェーロ・レオンカヴァッロの『Pagliacci(道化師)』の序曲の次に口笛で吹くのは、
バッハが1723年にマリア訪問の祝日用に作曲したと言われる教会カンタータだ。

それらの曲がこの場面で相応しいのかどうか?はわからないが、
まあAC/DCではないしグレン・グルードでもないんだな。

このカンタータは二部に分かれていて全部で10曲の、
『Herz und Mund und Tat und Leben(心と口と行いと生活で)BWV 147』。

その全10曲の最後を飾るのが、
この『Jesus bleibet meine Freude(イエスは変わらざるわが喜び)』。

英訳『Jesus, Joy of Man’s Desiring』から、
『主よ、人の望みの喜びよ』となった。

第6曲『Wohl mir, daß ich Jesum habe(イエスはわたしのもの)』を、
別節の歌詞で歌うものだ。

ヨハン・ショップが作曲した、
『Werde munter, mein Gemüte』のメロディを基にしてつくられている。

曲を聴けばすぐにわかるけれど、
これだけを読んだところでこの曲がいったいどんな曲なのか?がわからない人は意外に多いはずだ。

そういうものだ。

バッハは知っているし曲も聴いたことがあるのに、
曲名だけでは結びつかないケースは案外多いかもしれない。

バッハに限ったことではないけれど、
いくつか細切れには知ってはいてもそれらを繋ぎ合わせて結びつけられないこともある。

結びつけば新たな広がりがあるけど、
気付かなければそれぞれの断片でしかない。

断片を繋ぎ合わせると新しい世界が見えることもあるけど、
いかに多くのことが断片のままであちこちに転がっていることか。

The Kinks – Wicked Annabella

この曲はキンクス1968年リリースのアルバム、
『The Kinks are the Village Green Preservation Society(ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ)』に入っている1曲を思い出す。

そうそう、
『Wicked Annabella』だね。

ピート・クウェイフが弾くベース・ラインに、
この曲の旋律が使われている。

彼が何かのインタヴューで、
この曲についてこんなふうに言っている。

Oh, great fun. I played a Bach bassline during the middle of that once.

―Peter Quaife

Karl Richter – Jesus bleibet meine Freude

では、
カール・リヒターとミュンヘン・バッハ合唱団とアンスバッハ・バッハ週間管弦楽団による『Jesus bleibet meine Freude』を

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On A Slow Boat To China
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