またしてもグレン・グールドだけど今度はブラームス
スピーカーからはグレン・グールドのピアノが流れている。
―村上春樹-シドニーのグリーン・ストリート 21
ブラームスの「インテルメッツォ」、僕のいちばん好きなレコードだ。
またしてもグレン・グールドの登場である。
ただここではバッハではなくてブラームスなのだ。
38枚も持っているグールドのレコードの中で、
『僕』がいちばん好きなのが『インテルメッツォ』なんだね。
1961年にグールド28歳の時にレコーディングされた『10 Intermezzi For Piano』、
彼が録音した最初のロマン派のアルバム。
そのタイトル通り、
ブラームスが晩年に作曲したいくつかのピアノ曲集の中から『Intermezzi(間奏曲)』だけを10曲抜き出してグールド自身が並べたもの。
・間奏曲変ホ長調 作品117-1
・間奏曲変ロ短調 作品117-2
・間奏曲嬰ハ短調 作品117-3
・間奏曲変ホ短調 作品118-6
・間奏曲ホ長調 作品116-4
・間奏曲イ短調 作品76-7
・間奏曲イ長調 作品76-6
・間奏曲ロ短調 作品119-1
・間奏曲イ短調 作品118-1
・間奏曲イ長調 作品118-2
作品76は1878年の夏頃に作曲された『8 Klavierstücke(8つの小品)』で、
その中からは第6曲と第7曲が選ばれている。
作品が内向的になり、
後期の入口の作品という見方もある。
作品116は1892年の夏に作曲された作品『7 Fantasien(7つの幻想曲集)』で、
そこからは第4曲が選ばれている。
作品117も同じ年につくられた『3 Intermezzi(3つの間奏曲)』で、
ここでは第1~3曲が選ばれている。
やはり同じ年の作品118『Sechs Stücke für Klavier(ピアノのための6つの小品)』からは、
第1,2,6曲が選ばれている。
ブラームスの存命中に出版された最後から2番目の作品で、
クララ・シューマンに献呈されている。
そして1983年にブラームス最後のピアノ独奏作品であり生前に出版された最後の曲集、
作品119『Vier Klavierstücke(4つの小品)』からは第1曲が選ばれている。
いずれにしても、
聴いているととても心が落ち着くレコードであることは間違いない。
それにしてもブラームスの晩年の作品を、
28歳でこんなふうに弾いてしまうグールドはやはり天才なのだ。
Glenn Gould – Brahms:10 Intermezzi for Piano
そんなわけで、
そのグレン・グールドが弾くブラームスを聴こう。
抜き出して聴いても良いけど、
『間奏曲変ホ長調 作品117-1』で始まって『間奏曲イ長調 作品118-2』で終わらせる曲順の妙も楽しんでほしい。
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