カー・ラジオから流れていた『クリーデンス』とか『グランド・ファンク』とか

カー・ラジオ

クリーデンスとかグランド・ファンク

クリーデンスとかグランド・ファンクとかそんな感じだ。
すべてが夏の太陽を中心に回転していた。
僕はこまぎれに口笛を吹き、口笛を吹いていない時は煙草を吸った。
FENのニュース・アナウンサーは奇妙なイントネーションをつけたヴェトナムの地名を連発していた。

村上春樹-午後の最後の芝生

CCR=Creedence Clearwater Revivalに、
GFR=Glomerular Filtration Rate(糸球体濾過量)ではなくてGrand Funk Railroadだ。

Creedence Clearwater Revival – Fortunate Son

クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルは、
少なくともこの『午後の最後の芝生』と『風の歌を聴け』と『ノルウェイの森』に出てくる。

『風の歌を聴け』では、
バンド名と曲名が出てくる。


元々最初は、
ストーンズの『Brown Sugar』だったところだね。、

クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル、
「フール・ストップ・ザ・レイン」、乗ってくれよ、ベイビー。

―村上春樹-風の歌を聴け

『ノルウェイの森』では、
曲名『Proud Mary』だけが出てくる。

レイコさんは「プラウド・メアリ」を口笛できれいに吹きながらごみを集め、
ビニールのごみ袋に入れてそのくちを結んだ。

村上春樹-ノルウェイの森

そして、
ここではバンド名だけが出てくる。

FENで流れてきたクリーデンスの曲って、
いったい何だろう?

ドライブにはちょっとハードな歌詞だけど、
この曲なんか悪くない。

1969年のアルバム『Willy and the Poor Boys』の中の1曲で、
シングルにもなった『Fortunate Son』。

億万長者や政治家たちの幸運な息子(Fortunate Son)の歌ではなく、
徴兵されるような一般市民の人々の視点から歌われる曲だ。

Grand Funk Railroad – Heartbreaker

グランド・ファンク・レイルロードも、
他の村上春樹作品で登場する。

それは、
『1Q84』。

天吾がスマイル・マークを最後に目にしたのは、一九七〇年代の初めだった。
グランド・ファンク・レイルロードのとんでもなく騒々しい曲がジュークボックスを震わせていた頃のことだ。

村上春樹;1Q84

GFRというとどうしても井上陽水が『傘がない』でコード進行を模倣したとかしないとかの、
GFR1969年の1stアルバム『On Time』の『Heartbreaker』を思い出してしまう。

まあそう言われれば、
確かにそうだけどね。

陽水はあの激しい雷雨に見舞われた後楽園球場で、
GFRのコンサートを見たようだ。

セットリストにはこの曲も含まれているから、
ヒントを得たのかもしれない。

出だしの歌詞『都会では自殺する若者が増えている』は、
ビートルズの『A Day in the Life』の始まりの『I read the news today, oh boy.』からだという話もある。

この話はちょっと面白くて、
気に入っている。

というわけで、
『Heartbreaker』をどうぞ。

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中国行きのスロウ・ボート
村上春樹 『中国行きのスロウ・ボート』 で流れる音楽たち

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