The Beach Boys – Summer Days (and Summer Nights!!)

カルフォルニア・ガールズ

<カリフォルニア・ガールズ>の入ったビーチ・ボーイズのLP。

翌日の朝、
僕はその真新しいチクチクするTシャツを着てしばらく港の辺りをあてもなく散歩をしてから、
目についたレコード店のドアを開けた。
店には客の姿はなく、
店の女の子が一人でカウンターに座り、
うんざりした顔で伝票をチェックしながら缶コーラを飲んでいるだけだった。
僕はしばらくレコード棚を眺めてから、
突然彼女には見覚えがあることに気づいた。
一週間前に洗面所に寝転がっていた小指のない女の子だ。
やあと僕は言った。
彼女は少し驚いて僕の顔を眺め、
Tシャツを眺め、
それから残りのコーラを飲み干した。
「何故ここで働いてるってわかったの?」
彼女はあきらめたようにそう言った。
「偶然さ。レコードを買いに来たんだ。」
「どんな?」
「<カリフォルニア・ガールズ>の入ったビーチ・ボーイズのLP。」
彼女は疑り深そうに肯いてから立ち上がってレコード棚まで大股で歩き、
よく訓練された犬のようにレコードを抱えて持ってきた。
「これでいいのね。」
僕は肯いて、
ポケットに手をつっこんだまま店の中をぐるりと見回した。

―村上春樹,風の歌を聴け

村上春樹氏が描いたイラストにあるようなNEBの真新しいTシャツ、
それが送られてきたとしよう。

カート・ヴォネガット、
『Breakfast of Champions, or Goodbye, Blue Monday』のイラストのTシャツだったら良いんだけど。

NEBのTシャツは多分ボクならせいぜいお家で着るくらいに留めるだろうけど、
僕はそれを着てあてもなく港の辺りをあてもなく散歩する。

そして目についたレコード店に入り、
再び小指のない女の子に出会うことになる僕。

たまたまだろうか?
それとも調べは付いていたんだろうか?

そしてコンタクトを探してあげた女の子に返すべきレコード、
<カリフォルニア・ガールズ>の入ったビーチ・ボーイズのLPをリクエスト。

それは1965年リリースのアルバム、
『Summer Days (and Summer Nights!!)』のはずだ。

The Beach Boys – Summer Days (and Summer Nights!!)

01 The Girl From New York City
02 Amusement Parks U.S.A.
03 Then I Kissed Her
04 Salt Lake City
05 Girl Don’t Tell Me
06 Help Me, Rhonda
07 California Girls
08 Let Him Run Wild
09 You’re So Good To Me
10 Summer Means New Love
11 I’m Bugged At My Ol’ Man
12 And Your Dream Comes True

ジャケットの写真はロサンゼルス南部にあるヨットハーバー、
マリーナ・デル・レイの沖合で撮影されたもの。

ヨットはメンバーの誰かのものとかではなく、
賃貸しのもの。

この日はギターのアル・ジャーディンが、
インフルエンザに罹っていたので不参加で写っていない。

そのことは、
ジャケットの裏に本人のコメントとして書かれている。

Sorry I missed the boat on this album cover.
That very day the pictures were taken
I had to spend in bed with a flu bug
instead of on a yacht with the photographer.

―The Beach Boys – Summer Days (and Summer Nights!!)

ごめんなさいこのアルバムのジャケットの船に乗り遅れて
写真が撮られたその日僕は写真家と一緒にヨットに乗らず
インフルエンザに罹ってベッドで過ごさなければならなかったんだ

という感じか。

まあ普通は別の日に全員揃って改めて撮ると思うんだけど、
そうじゃないところが面白いというか不思議というか。

Carpenters – Ticket To Ride

それでこのジャケットにそっくりなのが、
ビーチ・ボーイズのファンでもあるカーペンターズの『Ticket To Ride』。

元々は『Offering』というタイトルで、
1969年にリリースされている。

ただタイトルもジャケットの写真も変更されて、
1970年に再リリース。

まあ比較すれば再リリースの方が表裏どちらの写真も、
最初のものよりも良い感じだ。

犬の漫才師とよく訓練された犬

話を元に戻せば、
彼女はよく訓練された犬ようにレコード棚まで大股で歩きそのレコードを抱えて持ってくる。

同じ犬でも、
犬の漫才師のDJと女の子とでは随分と違うのだ。

犬の漫才師は『僕』にあなたがそうかもしれないと言われて笑い飛ばしたけど、
もしこの場面でよく訓練された犬みたいだねと言われたら女の子はどうしただろう?

David Lee Roth – California Girls

ところでこの『California Girls』、
デイヴィッド・リー・ロスのカバーが結構好きなのだ。

もちろん、
物語にダイヤモンド・デイヴのバージョンが流れているわけではないけどオマケ的に。

1985年リリースのEP、
『Crazy from the Heat』の中の1曲。

ビーチ・ボーイズのカール・ウィルソンと、
クリストファー・クロスがバッキング・ボーカルで参加している。

PVが流れていたのは『Best Hit USA』だったかな?
いかにもダイヤモンド・デイヴという感じでこれも結構好きで時々今でもYou Tubeで見たりする。

そういえば、
デイヴは日本に住んでいたという話がある。

2013年にJ-WAVEのジョン・カビラの番組に出演した際、
俺は5月からこの近所に住んでいていつも自転車でその辺走ってるよみたいな発言をしていた。

小錦と仲が良くて日本語も教わってるしなんて発言もしていたし、
未だに墨絵を習っている時の写真がネットで見られる。

自分の年齢の半分くらいの日本人の恋人がいるなんて言っていたはずだけど、
その後どうなったんだろうね?

Tokyo Story 外人任侠伝~東京事変~

それと、
こんな動画がある。

Tokyo Story
外人任侠伝~東京事変~。

5分たらずの動画なんだけど、
これがなかなか面白くてこれも定期的に見たりしている。

In the name of the Moon
I shall right wrongs and defeat all devil

月に代わっておしおきよ

笠置シヅ子 – 東京ブギウギ

では最後に『Tokyo Story 外人任侠伝~東京事変~』で流れていた、
笠置シヅ子1947年リリースの『東京ブギウギ』。

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