Beach Boys – California Girls(Remix/Remastered 2001)

カルフォルニア・ガールズ

リクエスト曲はビーチ・ボーイズの<カリフォルニア・ガールズ>

「実はね、
君にリクエスト曲をプレゼントした女の子が……ムッ……いるわけなんだ。
誰だかわかるかい?」
「いいえ。」
「リクエスト曲はビーチ・ボーイズの<カリフォルニア・ガールズ>、
懐かしい曲だね。
どうだい、
これで見当はついた?」
僕はしばらく考えてから、
全然わからないと言った。
「ん……、
困ったね。
もし当たれば君に特性のTシャツが送られることになってるんだ。
思い出してくれよ。」
僕はもう一度考えてみた。
今度はほんの少しではあるけれど
記憶の片隅に何かがひっかかっているのが感じられた。
「カリフォルニア・ガールズ……ビーチ・ボーイズ……、
どう思い出した?」
「そういえば5年ばかり前にクラスの女の子にそんなレコードを借りたことがあるな。」
「どんな女の子?」
「修学旅行の時に落としたコンタクト・レンズを捜してあげて、
そのお礼にレコードを貸してくれたんだ。」

―村上春樹,風の歌を聴け

電話のベルが鳴ったのは7時15分、
NEBのDJからだ。

この時代のコンタクト・レンズは、
数万円はするハード・コンタクトのはずだ。

使い捨てコンタクトなんてなかった時代だから、
探してあげればお礼くらいされる代物ではある。

そのお礼にレコードを貸してくれた女の子の名前は思い出されたみたいけれど、
具体的な名前は出てこない。

そして『僕』はDJとの会話で、
何年かぶりに突然腹が立ち始めたらしい。

『動物が好きなのは笑わないところ』、
『ほう、動物は笑わない?』みたいな会話で腹が立つんだろうか?

何がスイッチになって腹を立ててしまったんだろう?
と考えるといろいろ想像できてこれはこれで面白い。

そんなふうに読めればなかなか楽しい作品なんだけれど、
そんなふうに読めなければ何だかなあとなってしまう作品なのかもしれない。

Beach Boys – California Girls

ビーチ・ボーイズの『California Girls』は、
1965年リリースのアルバム『Summer Days (and Summer Nights!!)』に入っている曲。

シングル・カットされてBillboard Hot 100では3位、
UK Singles Chartでは26位になっている。

作詞・作曲は、
ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴ。

バッハの教会カンタータ、
『Herz und Mund und Tat und Leben(心と口と行いと生活で)』の1曲。

終曲のコラール『Jesus bleibet meine Freude(イエスは変わらざるわが喜び)』、
この曲のリズムからインスピレーションを得ていると言われているがどうなんだろう?

ってことで聴いてみると、
こんな感じ。

オルガンは、
マリー=クレール・アラン。

映画『風の歌を聴け』

そういえばこの曲、
1981年大森一樹監督の映画『風の歌を聴け』でももちろん流れている。

それでこの曲の楽曲使用料に多額の予算が割かれ、
肝心の製作費がひっ迫したなんて話がある。

それでも流さないわけにはいかないもんな、
何しろ重要な曲だからね。

DJとの会話のあと、
この曲の訳詞が出てくる。

イースト・コートの娘はイカしてる。
ファッションだって御機嫌さ。
南部の女の子の歩き方、しゃべり方、
うん、ノックダウンだね。
中西部のやさしい田舎娘、
ハートにぐっときちゃうのさ。
北部のかわいい女の子、
君をうっとり暖めてくれる。

素敵な女の子がみんな、
カリフォルニア・ガールならね…。

―村上春樹,風の歌を聴け

そして、
三日後の午後に郵便でTシャツが送られてくる。

どんなTシャツなのか?というと、
作者自身のまあ何とも言えないイラストが添えられている。

最初に見た時は、
カート・ヴォネガットのイラストみたいだなと思った。

1973年出版の『Breakfast of Champions, or Goodbye Blue Monday』、
日本語のタイトルは『チャンピオンたちの朝食』の中に出てくるやつ。

チャンピオンたちの朝食

でも比べてみたら、
随分と違っていた。

【風の歌を聴け】で流れる他の音たちはこちら!

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