7曲目は3枚のレコード
村上春樹『古くて素敵なクラシック・レコードたち』で流れる音たち、
7曲目はハチャトゥリアン:ヴァイオリン協奏曲 二短調。
本文にもあるけど、
この曲はレイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』の中に登場する。
フィリップ・マーロウが、
トラクター工場のろくでもない緩んだファン・ベルトみたいだと言った曲。
この曲のどこがそんなふうに聴こえるのか?
は謎である。
この曲は形式主義的退廃音楽家とされたジダーノフ批判を、
ハチャトゥリアンが受ける以前の1940年の作品。
翌年の1941年、
スターリン賞第2位を獲得している。
ちなみにジダーノフ批判はソビエト連邦共産党中央委員会が、
芸術や文化の諸分野に対して行ったイデオロギーの統制・強化の動きのこと。
この批判を推し進めた人物、
中央委員会書記アンドレイ・ジダーノフの名前をとったもの。
1948年から10年間続いて、
1958年に解除されている。
アルメニア民族色に満ちたこの名作は、
ソヴィエト音楽祭で初演を担ったヴァイオリニストのダヴィッド・オイストラフに献呈されている。
構成
オイストラフは、
この曲のヴァイオリンのパートについて助言を行った。
そして、
ハチャトゥリアンとは別に自身でカデンツァも作っている。
第1楽章
アレグロ・コン・フェルメッツァ
ニ短調
4/4拍子
ソナタ形式
第2楽章
アンダンテ・ソステヌート
イ短調
3/4拍子
三部形式
第3楽章
アレグロ・ヴィヴァーチェ
ニ長調
3/8拍子
拡大されたロンド形式
ダヴィッド・オイストラフ
David Oistrakh-
Khachaturian:
Concerto for Violin and Orchestra in D Minor
1965年
指揮:ハチャトリアン
演奏:モスクワ放送交響楽団
ヴァイオリン:ダヴィッド・オイストラフ
おまけで、
1955年オーケストラがフィルハーモニア管弦楽団のものも。
こちらのカデンツァは、
オイストラフのもの。
ドヴィ・エルリー
Devy Erlih-
Khachaturian:
Concerto for Violin and Orchestra in D Minor
1972年
指揮:セルジュ・ボド
演奏:セント・ソリ管弦楽団
ヴァイオリン:ヴィ・エルリー
ルッジェーロ・リッチ
Ruggiero Ricci-
Khachaturian:
Concerto for Violin and Orchestra in D Minor
1971年
指揮:アナトール・フィストゥラーリ
演奏:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ヴァイオリン:ルッジェーロ・リッチ
というわけで…
今回の村上春樹、
『古くて素敵なクラシック・レコードたち』で流れる音楽。
7曲目は、
ハチャトゥリアン:ヴァイオリン協奏曲 二短調をお届けしました。
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