Elvis Presley – Return To Sender

エルヴィス・プレスリー

僕たちはエルヴィス・プレスリーの主演映画を観た。主題歌はこんな唄だった。

僕たちはエルヴィス・プレスリーの主演映画を観た。
主題歌はこんな唄だった。
「僕は彼女と喧嘩した。
 だから彼女に手紙を書いた。
 ごめんね、
 僕が悪かった、
 ってさ。
 でも手紙は返ってきた。
 宛先不明、
 受取人不明。」
時は、
余りにも早く流れる。

―村上春樹,風の歌を聴け

小指のない女の子のお家に招かれ、
ビーフシチューを御馳走になった帰り道。

車の中で突然『僕』は、
7年前に初めてデートをした女の子の子のことを思い出す。

さっきまで一緒にいた小指のない女の子が、
7年前に初めてデートをした女の子のことを思い出させたわけではないだろう。

ただ小指のない女の子と一緒にいたことで、
『時は、余りにも早く流れる』ことを実感して思い出したのかもしれない。

7年前の『僕』は14歳のはずだ。
19章で『僕は21歳になる』と書かれているのだから7年前なら1963年だし14歳。

14歳と言えば『僕』が突然堰を切ったようにしゃべり始めて、
三ヶ月かけてしゃべりまくった年齢。

しゃべり終えると40度の熱を出して三日間学校を休んで、
熱が引いた後は結局無口でもおしゃべりでもない平凡な少年になった頃。

そんな頃に、
『僕』は初めて女の子とデートをしたわけだ。

そして、
そのことを小指のない女の子の家に言った帰り道に思い出す。

プレスリーだったあの頃は、
M.J.Qやマーヴィン・ゲイになってしまった。

もちろん、
プレスリーが消えたわけじゃあない。

実際1970年といえば映画の中に閉じ込められていた彼が、
再び音楽の世界に帰ってきた頃だから。

ただ時間が経過すれば、
物事もいろいろとそれなりに変わってしまうものだ。

でも、
本当に変わちゃうのは物事なんかじゃあなくて自分自身なのかもしれない。

Elvis Presley – Return To Sender

さて、
ボクが最初のデートで観た映画。

エルヴィス・プレスリー主演の映画タイトルは、
1962年に公開(日本では1963年)された『ガール・ガール・ガール(Girls! Girls! Girls!)』で良いだろう。

そして歌詞が出てくる主題歌は、
オーティス・ブラックウェルがつくった『心の届かぬラヴ・レター(Return To Sender)』。

喧嘩をした彼女に手紙を書いたけど、
宛先不明・受取人不明で戻ってきちゃうって話。

それを書いたのは、
もちろん郵便局の人じゃあなくて彼女。

This time I’m gonna’ take it myself and put it right in her hand
And it it comes back the very next day then I’ll understand the writing on it

今度は自分で持っていくつもりだよ直接彼女に手渡すのさ
それでも次の日に戻ってくるようなら彼女が書いた意味がわかるんだろう

まあ、
切ないと言えば切ない歌詞だ。

今とは違って手紙、
ってところが良い。

でも時間がゆっくりと進む分、
色々な感情も先延ばしにされる。

それはそれで、
良い時代なのかもしれない。

ちなみに、
ボクの最初のデートで観た映画はリバイバル上映の『小さな恋のメロディ』だ。

アラン・パーカーがまだ脚本を書いていた頃、
1971年の作品。

ジャック・ワイルドにマーク・レスター、
トレイシー・ハイド。

ビージーズだった頃は、
未だにストーンズやフーだったりだからあまり変わっていない。

時間が経過しても、
あんまり変わらないものだってある。

そして、
案外自分自身もそんなに変わっていないんじゃあないかって思うこともある。

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