A Taste Of Honey
さて、
ビートルズのカヴァーしたオリジナルや他のカヴァーを追ってみよう!シリーズ。
今回も1stアルバム『Please Please Me』の曲で、
ボビー・スコットとリック・マーロウの作品『A Taste Of Honey』。
元々は1958年イギリスで上演された演劇『A Taste Of Honey 』、
これが1960年にブロードウェイで上演されることになった際に書かれたインスト曲。
この演劇は1961年にトニー・リチャードソン監督で映画にもなっていて、
リタ・トゥシンハムは英国アカデミー賞新人賞を受賞している。
この曲の最初のレコーディングは、
曲の作者でもあるボビー・スコット1960年のアルバム『A Taste Of Honey』。
このアルバムには 『A Taste Of Honey』と『A Taste Of Honey(Refrain)』、
そして『A Taste Of Honey (closing theme)』の3つのヴァリエーションが収められている。
ヴォーカル・ヴァージョンの1番最初のレコーディングは、
ビリー・ディー・ウィリアムズ1961年のアルバム『Let’s Misbehave』で登場している。
ただ、
ビートルズのカヴァーの元になっているのはこれじゃあない。
レニー・ウェルチ、
1962年のカヴァーの方だろうね。
The Beatles – A Taste of Honey
それでそのビートルズのカヴァーは、
ポールが唄っている。
これを1stアルバムに入れたのは、
ジョージ・マーティンとブライアン・エプスタインの意向だったという話がある。
それとこの曲も既に、
デビュー前のハンブルグやリヴァプールで演奏していたようだ。
ライヴでスローナンバーやスタンダードを演る必要があった時に、
この曲を取り上げていたみたい。
ジョンは案の定、
こういった曲をステージで演るのは苦痛だったらしい。
なのでコーラスで『A Taste of Honey』というところを、
敢えて『A Waste of money(金の無駄遣い)』と唄うことがあったというのは良く知られた話だ。
いかにも、
ジョンらしいエピソードだね。
逆にポールはこういった曲も好きだったわけで、
そのあたりがビートルズの音楽の幅を拡げていたんだろうね。
ポールの甘い声がこの曲にはピッタリと嵌っているけど、
ちょっとだけアルバムの流れの中では異質な感じがしないでもない。
ビートルズの他のヴァージョンは、
1994年リリースの『Live at the BBC』に入っている。
これは、
BBCの『Pop Go The Beatles』用のヴァージョン。
BBCラジオ番組では、
この曲を7回も演奏したらしい。
他のカヴァー
この曲のカヴァーはインストと歌のヴァージョンそれぞれ、
かなりいろいろある。
1番有名なのは、
ハープ・アルバート&ザ・ティファナ・ブラスのやつだろう。
1965年のアルバム『Whipped Cream & Other Delights』に入っていて、
シングルはBillboard Hot 100で最高位7位になっている。
このアルバムには、
ラジオ番組『オールナイトニッポン』のテーマ曲『Bittersweet Samba』も入っている。
沢山カヴァーがあっても、
惹かれるものは少ない。
あんまりしっとり唄われてもね、
ちょっと聴くのが辛くなる。
そこいくとホリーズのやつは、
何だかドタバタしていて面白い。
1966年と1968年、
2つヴァージョンがある。
というわけで…
今回の曲は、
『A Taste of Honey 』。
インスト・ヴァージョンとヴォーカル・ヴァージョンの最初、
ボビー・スコットと ビリー・ディー・ウィリアムズのヴァージョン。
ビートルズのカヴァーの元になった、
レニー・ウェルチのものとそのビートルズのカヴァー2ヴァージョン。
そして良く知られているハープ・アルバート&ザ・ティファナ・ブラスのものに、
ちょっと面白いホリーズの2ヴァージョン。
ところで『蜜の味』というと、
『シャーデンフロイデ』という言葉を思い出してしまう。
ドイツ語なんだけど、
要は『他人の不幸は蜜の味』的感情のことだね。
『Schadenfreude』は、
『Schaden(損害)』と『Freude(喜び)』が組み合わさった言葉。
こういう感情は良くないと思う方も多いだろうけど、
自分は持っていないと認めたがらないだろうけど大小あれど誰にでもあるものなんだろう。
ニーチェが言うような、
真の優れた人はいるんだろうか?
他の誰かが敗者になることで、
自分が勝者になれる(またはその逆)とは考えない人物。
まあ、
ボクには無理な話だ。
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