I Wanna Be Your Man

ラヴ

The Beatles – I Wanna Be Your Man

November 7, 1963 2nd Single(UK)

 A:I Wanna Be Your Man
   (Lennon-McCartney)
 B:Stoned
   (Nanker Phelge)

ストーンズの1stシングル『Come On』/『I Want To Be Loved』の次にリリースされたのが、
2ndシングル『I Wanna Be Your Man』。

B面の『Stoned』は、
オリジナル。

この曲の名義はオリジナルだけどクレジットは『Nanker Phelge』の方で、
ミック/キース/ビル/チャーリー/ブライアン/イアン/アンドリューの共作になる。

これは、
米国作曲家作詞家出版者協会(ASCAP)でそう認められているそうだ。

だから、
著作権料がミックとキース以外にも入るわけだね。

この時期は、
まだアルバムのリリースはない。

この時代にアルバムのリリースができるということは、
ある意味とてつもなく名誉なことだったことなんだとどこかで読んだ気がする。

もしも出せなければ、
2年でそのバンドは消えるといった話だったような。

これって、
キースが語った話だったかもしれない。

とにかくアルバムが出せるかどうか?
はバンドにとってはあたりまえだけどとても重要なことだったわけだね。

さて、
この曲はカヴァーとは言えないかもしれない。

なにしろ最初にリリースしているのは、
紛れもなくストーンズだからだ。

確かにビートルズもアルバムの中に入れてリリースしているけれど、
それはストーンズのシングルのあとの話だ。

ストーンズのシングルは1963年11月1日、
ビートルズのアルバムは1963年11月22日だから3週間差なだけだけど。

3週間差とはいえストーンズのリリースが先だから、
ある意味オリジナルになるのかもしれない。

そしてビートルズのヴァージョンは、
セルフ・カヴァーということになるかもしれない。

この曲は彼らが次のシングルの曲を探している時にジョンとポールに会って 、
スタジオでつくりかけの曲を完成させたものを提供してもらったという話だね。

それが1963年9月10日のことで、
ビートルズは翌日9月11日スタジオでテイク1をレコーディングしている。

その翌日9月12日にはテイク2から7まで録音しているけど、
それでもまだ完成はしていなかった。

ストーンズが吹き込んだのは10月7日だから、
取り掛かったのはビートルズの方が実は先だったわけだ。

ただビートルズがこの曲を完成させるのは、
10月23日テイク16だからやはりストーンズの方が先になる。

まあ細かい話だから、
どうでも良いと言えばどうでも良い話なんだけど。

曲の提供についてもいろんな人がいろんなところで語っているけど、
ちょっとずつ話が違っていてどれが本当なのか?はわからない。

例えば、
ポールはこんなふうに言っている。

So they shouted from the taxi and we yelled, ‘Hey, hey, give us a lift, give us a lift,’ and we bummed a lift off them. So there were the four of us sitting in a taxi and I think Mick said, ‘Hey, we’re recording. Got any songs?’ And we said, ‘Aaaah, yes, sure, we got one. How about Ringo’s song? You could do it as a single.’

Paul McCartny

ポールはミックにタクシーの中で『何か曲はないかい?』と言われて、
リンゴの曲なんかどうだい?それならシングルとして出せるよと言ったって話になっている。

We were taken down to meet the Stones at the club where they were playing in Richmond by Brian and some other guy. They wanted a song and we went to see them to see what kind of stuff they did. Mick and Keith had heard that we had an unfinished song – Paul just had this bit and we needed another verse or something. We sort of played it roughly to them and they said, ‘Yeah, OK, that’s our style.’

John Lennon

ジョンはリッチモンドのクラブで、
ストーンズが曲を欲しがってるって聞いてという感じ。

We knew [the Beatles] by then and we were rehearsing and Andrew brought Paul and John down to the rehearsal. They said they had this tune, they were really hustlers then.

Mick Jagger

ミックは、
リハーサルをしている特にアンドリューがポールとジョンを連れてきて曲があるよと言ったという話。

少しずつ違うんだけど、
ジョンとポールがストーンズにこの曲を提供したことだけはどうやら間違いない。

その後、
ビートルズはこの曲をリンゴのヴォーカルでセルフ・カヴァーしている。

そのビートルズのヴァージョンは、
彼らの2ndアルバム1964年リリースの『With the Beatles』に収録されている。

リンゴがヴォーカルの1stアルバムの曲『Boys』は『I’m talking about boys』と唄って、
一部で変な誤解をされていたんだよね。

だからなのかどうかはわからないけれど、
こっちではやたら『I Wanna Be Your Man』と繰り返しているのが面白い。

この曲、
他にもいくつかのヴァージョンがある。

1964年3月30日に放送のラジオ番組『From Us to You』での音源で、
1994年リリースの『Live at the BBC』に入っているやつ。

それと、
1995年『The Beatles Anthology 1』ヴァージョン。

The Rolling Stones – I Wanna Be Your Man

ボ・ディトリー風の曲は『自分たちのスタイルだ!』とストーンズが気に入り、
ジョンとポールがつくりかけだった曲をその場で完成させて彼らに提供。

結局、
これが2ndシングルになった。

本当は『Fotune Teller』と『Poison Ivy』を、
2ndのためにレコーディングしていたみたいだけどそちらはボツ。

このストーンズ版『I Wanna Be Your Man』は、
ビートルズ版に比べて随分と異なるイメージに仕上がっている。

というか、
明らかにこちらの方がカッコいい。

もちろんポップなのはビートルズの方なんだろうけど、
ボクはこっちの方が好き。

まあ好みだからね、
逆の方も多いだろう。

ビル・ワイマンのベースと、
ブライアン・ジョーンズのスライド・ギターがとにかく良いのだ。

もちろん、
ミックとリンゴのヴォーカルを比較しようもない。

ミックはミックだし、
リンゴはリンゴだからだ。

結局このシングルは、
全英シングルチャートでも1stの『Come On』が21位だったのに対してこちらは13位を獲得。

最高位がどうこうではなく、
この2曲を比べてしまえばやはりこちらの方が良い。

ミック曰く曲が『pretty commercial』だったから、
エルモア・ジェームズみたいにしたかったみたいだけどそういうセンスはさすがだ。

この曲については、
ジョンがこんなふうに言っている。

So we gave it to them.It was a throwaway. The only two versions of the song were Ringo and the Rolling Stones. That shows how much importance we put on it: We weren’t going to give them anything great, right?

John Lennon

まあこの『捨て曲』発言を、
そのまま受け取るわけにはいかない。

だって2ndアルバムに入れているし、
ライブでも何回も演っているわけだしね。

リンゴの枠とか時間のためにというのなら、
捨て曲でないものを入れれば良いわけで。

まあどういうつもりで言ったのかは永遠に謎だけど、
ストーンズのヴァージョンの方がカッコイイからこんなふうに言ったという考え方も可能性はゼロではないわけで。

何にしてもこの曲をストンーズがジョンとポールからもらえたのはラッキーだったし、
ブライアン・ジョーンズが居た意味はやはり大きかったことだけは確かだ。

とにかく、
同じ曲をビートルズとストーンズが吹き込んでいるという意味でこの曲の存在意義は大きい。

そうそう、
2017年リリースの『On Air』のデラックス・エディションにもこの曲が登場する。

1964年、
ラジオ番組『Saturday Club』の為のもの。

そういえば、
2012年にストーンズ50周年のツアーで数回だけどこの曲を演っていたっけ。

その他のカヴァー

この曲に関してはストーンズとビートルズを聴けば、
もうそれだけで良い感じだけど。

しいて選ぶなら、
ポールのソロのヴァージョンがまさにボ・ディトリー風でちょっと面白い。

1993年リリース、
犬を連れてアビー・ロードを渡るポールのジャケットが印象的な『Paul Is Live』に登場する。

というわけで…

今回の曲はある意味ストーンズがオリジナルともいえる、
ストーンズがビートルズよりも先にリリースした『I Wanna Be Your Man』。

ビートルズで3ヴァージョン、
ストーンズで2ヴァージョン。

更に、
ポールのソロで。

それにしても、
この曲のタイトルの『I Wanna Be Your Man』。

『彼氏になりたい』で、
『俺の女になれよ』とは全然違うわけで。

この違いは、
かなり大きい。

でも『好きになって』、
と言う意味ではまあ同じである。

他のストーンズのカヴァーはこちら!

The Rolling Stones
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おまけ



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