35曲目は4枚のレコード
村上春樹『古くて素敵なクラシック・レコードたち』で流れる音たち、
35曲目マーラー:交響曲第1番 ニ長調。
1884年から、
1888年にかけて作曲された作品。
この曲の第1稿は、
5楽章から成っている。
第1~第3楽章を第1部、
第4・5楽章を第2部とする交響詩として1889年に発表されている。
マーラー自身が指揮、
ブダペスト・フィルハーモニー交響楽団によって初演が行われたが成功はしなかった。
いわゆるブタペスト稿というやつで、
現在は失われている。
その後改訂が加えられ、
1883~4年の上演に際しては『Titan(巨人)』の標題が付された。
各楽章にも、
こんな感じで副題が付された。
ハンブルク稿
第1部:青春の日々より
第1楽章:春、終わることなく
第2楽章:(副題なし)
第3楽章:(副題なし)
第2部:人間喜劇
第4楽章:カロ風の葬送行進曲
第5楽章:地獄から天国へ
ワイマール稿
第1部:青春の日々より 花、果実、いばらの作品
第1楽章:春、終わることなく
(序奏は冬の⻑い眠りからの⾃然の⽬覚めを描く)
第2楽章:花の章
第3楽章:帆に⾵をいっぱいはらんで
第2部:人間喜劇
第4楽章:座礁
(カロ⾵の葬送⾏進曲)
第5楽章:地獄から天国へ
(最も深く傷ついた⼼の絶望の突然の爆発)
標題は、
ドイツの小説家ジャン・パウル1802年の小説 『Titan(巨人)』 に由来しているらしい。
1896年のベルリンでの演奏で、
マーラーは『花の章』を削除。
全4楽章の『交響曲』とし、
二部構成や各楽章の標題もすべて取り払ったのが今の基本形。
曲の構成
今の基本形になった、
4つの楽章から成る曲の構成はこんな感じ。
第1楽章
Langsam,
Schleppend,
wie ein Naturlaut –
Im Anfang sehr gemächlich
ゆるやかに、
重々しく
ニ長調
4/4拍子
序奏付きの自由なソナタ形式
第2楽章
Kräftig bewegt,
doch nicht zu schnell
力強く運動して
イ長調
3/4拍子
複合三部形式
第3楽章
Feierlich und gemessen,
ohne zu schleppen
緩慢でなく、
荘重に威厳をもって
ニ短調
4/4拍子
複合三部形式
第4楽章
Stürmisch bewegt
嵐のように運動して
ヘ短調 – ニ長調
2/2拍子
自由なソナタ形式
エイドリアン・ボールド/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
Adrian Boult,
London Philharmonic Orchestra-
Mahler:Symphony No.1,
in D major,
“Titan”
1958年
指揮:エイドリアン・ボールド
演奏:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィリアム・スタインバーグ/ピッツバーグ交響楽団
William Steinberg,
Pittsburgh Symphony Orchestra-
Mahler:Symphony No.1,
in D major,
“Titan”
1953年
指揮:ウィリアム・スタインバーグ
演奏:ピッツバーグ交響楽団
ディミトリ・ミトロプーロス/ミネアポリス交響楽団
Dimitris Mitropoulos,
Minneapolis Symphony Orchestra-
Mahler:Symphony No.1,
in D major,
“Titan”
1940年
指揮:ディミトリ・ミトロプーロス
演奏:ミネアポリス交響楽団
パウル・クレツキ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
Paul Kletzki,
Vienna Philharmonic-
Mahler:Symphony No.1,
in D major,
“Titan”
1962年
指揮:パウル・クレツキ
演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
というわけで…
今回の村上春樹、
『古くて素敵なクラシック・レコードたち』で流れる音楽。
35曲目は、
マーラー:交響曲第1番 ニ長調をお届けしました。
おまけ
Leonard Bernstein,
New York Philharmonic-
Mahler:Symphony No.1,
in D major,
“Titan”
1967年
指揮:レナード・バーンスタイン
演奏:ニューヨークフィルハーモニック
レナード・バーンスタインの、
マーラー交響曲全集のことが出てきているので。
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