マッカーサー・パーク

MacArthur Park

レコードを「マッカーサー・パーク」にかえる。

ジューク・ボックスがカチリと音を立てて、
レコードを「マッカーサー・パーク」にかえる。

―村上春樹,1973年のピンボール

鼠がジューク・ボックスで選んだ5曲、
これは2曲目なんだろうか?

最初の曲、
ウェイン・ニュートンの古いメロディが流れてから大した会話をしていないので多分そうだろう。

もしも曲が『Danke Schoen』なら、
2分半ほどだからね。

ジェイが一人暮らしであること、
猫を飼っていること。

その猫は、
もう長い付き合いだからお互いの気持ちがわかること。

そんな会話の後で、
この曲が流れる。

MacArthur Park

誰が唄っているものなのか?
は出てこない。

1st release Richard Harris

でもまあ、
オリジナルだろう。

1968年、
リチャード・ハリスのシングル『MacArthur Park / Didn’t We』。

当時のシングルでは異例である7分半もある曲なのに、
Billboard Hot 100では2位になっている。

書いたのは、
ジミー・ウェブ。

MacArthur’s Park is melting in the dark
All the sweet green icing flowing down
Someone left my cake out in the rain
I don’t think that I can take it
‘Cause it took so long to make it
And I’ll never have that recipe again
Oh, nooooo

―Jimmy Webb, MacArthur Park

マッカーサー・パークは闇に溶け込み
全ての甘い緑色のアイシングが流れ落ちる
雨のなかに誰かがボクのケーキを置き去りにしている
ボクは我慢できない
だってつくるのにとても時間が掛かったから
そしてそのケーキのレシピは二度と手に入らない
なんてことなんだ…

ケーキは、
2人の愛。

せっかく育んできたその愛も、
今じゃあ置き去りにされてボクは悲しみのどん底。

アイシング、
主に粉砂糖を基本に適度な水分を加えて練り込みペースト状にした甘味のあるクリームのことだろう。

そんな積み上げてきた様々な愛の欠片、
まるで新緑のように輝いていたそれらはどこかに消えてしまう。

どれだけ時間を費やしてこの愛を育んできたのか、
でももう同じようにその愛をもう1度作り上げるなんてできない。

全く、
なんて酷く哀しく切ないことだろう…。

という感じ、
だろうか。

これも鼠が、
彼女のことを考えて選んだ曲なんだろうか。

Covers

この曲のカヴァーで1番ヒットしたのはもちろんオリジナルを上回ったドナ・サマーのシングルで、
1978年の『Donna Summer – MacArthur Park / Once Upon A Time』。

Billboard Hot 100では、
1位になっている。

B面は、
ドナ・サマーとジョルジオ・モロダーとピーター・ベロッテの書いたもの。

MacArthur Park 関連 Play List

01 Richard Harris – MacArthur Park
02 Richard Harris – Didn’t We
03 Donna Summer – MacArthur Park
04 Donna Summer – Once Upon A Time

【1973年のピンボール】で流れる他の音たちはこちら!

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