J.S.Bach-Inventionen und Sinfonien BWV 772-801
それから僕はプレーヤーのスイッチを切って
―村上春樹-シドニーのグリーン・ストリート 7
グレン・グールドの「インヴェンション」をレコード棚にしまい、
ビールの空壜をかたづけ、爪切りを引き出しに入れ、羊男に椅子をすすめた。
またまたグレン・グールドが登場して、
今度はちゃんと曲名が出てくる。
バッハ、
『Inventionen und Sinfonien BWV 772-801』だね。
初心者の練習に使われるこの曲はバッハの息子、
長男のフリーデマンの為につくられたもの。
『Klavierbüchlein für Wilhelm Friedemann Bach(ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集』。
正式名称はこうなるのかな。
クラヴィーアの愛好家、とりわけ学習希望者が、
―Johann Sebastian Bach
まず 2 声部をきれいに弾き分けるだけでなく、
さらに上達したならば、オブリガートの 3 声部を正しくそして上手に処理し、
それと同時に、すぐれ た楽想を得るだけでなく、それらを巧みに展開すること。
そしてとりわけ、カンタービレの奏法を身 につけ、
それとともに作曲の予備知識を得るための、
はっきりした方法を示す正しい手引き。
この曲が流れている部屋に、
羊男が訪ねてくることを想像してみる。
ボクならプレーヤーのスイッチは切らずに、
この曲を流しっぱなしにするかもしれない。
そうでもしないと、
そのシチュエーションに耐えられないかもしれないからだ。
それにしてもバッハとグールドと羊男という組み合わせは、
よく考えてみると案外悪くない。
でもまあ、
グールドのバッハがきっかけで何か面倒なことになるかもしれない。
なにせ、
羊男なんだから。
羊男
羊男は村上作品にはよく登場するけど、
どこに出てきただろう?
試しに思い出してみると、
- 羊をめぐる冒険
- ダンス・ダンス・ダンス
- 図書館奇譚
- スパゲティー工場の秘密
- 羊男のクリスマス
- ふしぎな図書館
それくらいだったかな?
他にもあったような気がするんだけど…
バッハはどうだったっけ?
と一瞬思ったんだけどここではやめておこう。
Glenn Gould – Inventionen und Sinfonien BWV 772-801
そんなわけで、
グールド1964年の『Inventionen und Sinfonien BWV 772-801』。
この時使われたピアノはスタンウェイのCD318だけど、
グールド曰く手術(改造)を施している。
また、
1~15番まであるこの曲をそのまま順番にではなく並べ替えているのだ。
こんな感じだ。
・第1番ハ長調 BWV772, 787
・第2番ハ短調 BWV773, 788
・第5番変ホ長調BWV776, 791
・第14番変ロ長調 BWV785, 800
・第11番ト短調 BWV782, 797
・第10番ト長調 BWV781, 796
・第15番ロ短調 BWV786, 801
・第7番ホ短調 BWV778, 793
・第6番ホ長調 BWV777, 792
・第13番イ短調 BWV784, 799
・第12番イ長調BWV783, 798
・第3番ニ長調 BWV774, 789
・第4番ニ短調 BWV775, 790
・第8番ヘ長調 BWV779, 794
・第9番ヘ短調 BWV780, 795
では、
聴いてみよう。
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