モーツァルト – オペラ『ドン・ジョバンニ』K.527 3

【騎士団長殺し】の中のモーツァルト

「あなたには、
 とくに何か好きなオペラはありますか?」
私はそれについて考えてみた。
「最近は『ドン・ジョバンニ』をよく聴いています。
 ちょっとした理由があって」

騎士団長殺し

免色さんが訊き、
私が答える。

個人的な理由で大したことないと、
理由を訊かれてもはぐらかす私。

だったらその言葉をわざわざく加えなくてもねえ、
と思ったりもする。

免色さんは別に訊きたかったわけでもなく、
一応尋ねたという感じで自分がプラハの小劇場で聴いたことがある話をする。

でもモーツァルトのオペラのような作品に必要なのは、
室内音楽的な親密さです。

騎士団長殺し

なるほど、
なかなか面白い。

これまで世界中でいろんなところでいろんな『ドン・ジョバンニ』を聴く機会がありました。
と彼は続けた。
「ウィーンでも聴いたし、
 ローマでも、
 ミラノでも、
 ロンドンでも、
 パリでも、
 メトでも、
 東京でも聴きました。
 アバド、
 レヴィン、
 小澤、
 マゼール、
 後は誰だったかな…ジョルジュ・プレートルだったか、
 でもプラハで聴いた『ドン・ジョバンニ』が不思議と心に残っています。

騎士団長殺し

私はその話には乗ることなく、
外国にはよく出かけるのですねと話を変える。

妙に嚙み合わない、
会話というより勝手にそれぞれが話している感じ。

それにしても世界中でいろんなところでいろんな『ドン・ジョバンニ』を聴いたなんて、
なかなか素晴らしい体験だ。

でも心に残っているのは、
初演された街プラハの小さな劇場の『ドン・ジョバンニ』。

へたすりゃあ嫌味な感じだが、
まあ免色さんなので。

クラウディオ・アバド/ヨーロッパ室内管弦楽団

さて、
今回が3回目の『ドン・ジョバンニ』。

フルトヴェングラーの序曲と、
ベームの第一幕・第三場は聴いたので。

今回は、
名前が出てきたクラウディオ・アバドの『ドン・ジョバンニ』。

前回スルーした、
第一幕・第一・二場も含めて序曲から第三場まで通して。

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