ヘンデルの「レコーダー・ソナタ」をひっぱり出して…
彼女はレコード棚からヘンデルの「レコーダー・ソナタ」をひっぱり出して
―村上春樹,1973年のピンボール
プレーヤーに載せ、
針を下ろした。
何年も昔のバレンタイン・デーに
僕のガール・フレンドがプレゼントしてくれたレコードだ。
レコーダーとヴィオラとチェンバロのあいだに
通奏低音のように肉を炒める音が入っていた。
その彼女とは、
このレコードをかけっぱなしにしたまま何度もセックスをしたそうだ。
レコードが終り、
針がパチパチと音を立てて回りつづけるまで何も言わずに抱きあっていたらしい。
そんな昔の思い出の曲を、
双子の女の子と聴くというのはそんな感じなんだろう?
ちなみにプレーヤーがオートアームでなければ、
レコードはずっと回りつづける。
最初に戻って、
もう1度なんていうこともなくひたすら回りつづける。
ずっとパチパチと音を立てて、
最内周を回りつづけるのだ。
だからと言って、
ちびくろサンボのお話みたいにバターができたりすることはない。
ヘンデルのレコーダー・ソナタ
さて、
ヘンデルのレコーダー・ソナタ。
リコーダーではなくて、
レコーダーと書くところがまあ何とも言えないけどそれは取り敢えず置いておいて。
いったい、
何曲あるんだっけ?
少なくとも、
4曲はある。
ト短調 (HWV 360)・イ短調 (HWV 362)・ハ長調( HWV 365) ・ヘ長調 (HWV 369)、
の4曲がそうだ。
他にもリコーダーのための作品とされる曲、
ニ短調 (HWV 367a)・変ロ長調 (HWV 377)がある。
イギリス王室に仕えていたヘンデルは、
王女に音楽を教えていた。
これらのソナタは、
低音だけ書かれた楽譜を使って即興的に伴奏を演奏する通奏低音の練習を主な目的に書かれたものといわれている。
なので、
リコーダーのパートはシンプルだ。
Hans-Martin Linde
ここでは誰の演奏なのか?は特に出てこない、
と思ったら数行後に出てくる。
僕がビールを飲み終え、
―村上春樹,1973年のピンボール
ハンス=マルティン・リンデが
ヘ長調のソナタの最後の一音を吹き終える頃に食事の支度が仕上がった。
というわけなので、
ここで流れるのはヘ長調 (HWV 369)なわけだ。
ハンス=マルティン・リンデのリコーダーに、
グスタフ・レオンハルトのチェンバロ。
ヴィオラ・ダ・ガンバは、
アウグスト・ヴェンツィンガー。
1969年のアルバムで、
村上春樹『更に、古くて素敵なクラシック・レコードたち』にも出てくる。
以前、
書いていたものがある。
朝の6時半に聴くには、もっともふさわしい音楽のひとつ
そういえば、
村上朝日堂「スメルジャコフ対織田信長家臣団」でこの曲のことに言及している。
僕はヘンデルのリコーダーソナタは、
―村上春樹,村上朝日堂「スメルジャコフ対織田信長家臣団」
朝の6時半に聴くには、
もっともふさわしい音楽のひとつだと思っています。
高校生のころから聴いていますが、
聴きあきません。
試しに聴いてみて下さい。
ただ残念ながら、
朝の6時半に試しに聴いたことはない。
リコーダーの音って素敵ですね。
―村上春樹,村上さんのところ
僕はヘンデルのリコーダー・ソナタ(op.1)が昔から大好きです。
高校時代にハンス・マルティン・リンデの演奏するこのヘンデルのレコードを買って、
今でも(50年近くたっても)それを聴き続けています。
なんていうのもあるくらいだから、
結構好きなんだろう。
ボクはといえば、
昔からヘンデルは殆ど聴かないしこれからも多分そんなに聴くことはない気がする。
Handel: Sonata In F Major Op.1, No.11 – HWV 369 関連 Play List
ヘンデル: ソナタ ヘ長調 HWV369
第1楽章 グラーヴェ
第2楽章 アレグロ
第3楽章 ア・ラ・シチリアーナ
第4楽章 アレグロ
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