モーツァルト – 歌曲集

【スプートニクの恋人】の中のモーツァルト

すみれの部屋にあったカセット・テープをいくつかもってきて、
居間のステレオ装置でかけてみた。
そのひとつはモーツァルトの歌曲集だった。
エリザベート・シュヴァルツコップフとヴァルター・ギーゼキング(P)とすみれの字でラベルに書かれていた。…
そこに収められた曲のどれかがおそらくは『すみれ』なのだろう。

スプートニクの恋人

再びエリザベート・シュヴァルツコップフと、
ヴァルター・ギーゼキング。

ピアニストと歌手の押しては引き、
引いては押すデリケートな息づかい。

あたかも、
二人が目の前に実際にいるみたいに鮮やかに再現される。

ぼくにはどの曲が『すみれ』なのかはわからないが、
椅子に身を沈め目を閉じ消えてしまったすみれとその音楽を共有した。

Mozart–Elisabeth Schwarzkopf,Walter Gieseking–A Mozart Song Recital

ここで僕が聴いたカセット・テープは以前にも出てきたけど、
Mozart–Elisabeth Schwarzkopf,Walter Gieseking–A Mozart Song Recitalだろう。

もう1度、
今度はCDでこのアルバムは出てくる。

レコード、
カセット・テープ。

そして、
CDだ。

ぼくはレコード店に行って
エリザベート・シュヴァルツコップフの歌う『モーツァルト歌曲集』のCDを買い求め、
それを何度も聴いた。
そこにある美しい静けさをぼくは愛した。
目を閉じると、
その音楽はぼくをいつもあのギリシャの島の夜に連れ戻した。

スプートニクの恋人

そしてぼくは、
何度となくこのアルバムを聴く。

夜中に目を覚まし、
ベッドを出て(どうせ眠れやしない)一人がけのソファに沈みこみ、
シュヴァルツコップフを聴きながら、
あのギリシャの島の記憶をなぞる。

スプートニクの恋人

このアルバムには、
モーツァルトの歌曲が16曲収められている。

A1 Ridente La Calma, K. 152 (静けさはほほえみつつ)
A2 Oiseaux, Si Tous Les Ans, K. 307 (鳥よ、年ごとに)
A3 Dans Un Bois Solitaire, K. 303 (寂しく暗い森で)
A4 Die Kleine Spinnerin, K. 531 (可愛い糸紡ぎ娘)
A5 Als Luise Die Briefe, K. 520 (ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼いたとき)
A6 Abendempfindung, K. 523 (夕べの想い)
A7 Das Kinderspiel, K. 598 (子供の遊び)
A8 Die Alte, K. 517 (老婆)
B1 Das Traumbild, K. 530 (夢で見た姿)
B2 Das Veilchen, K. 476 (すみれ)
B3 Der Zauberer, K. 472 (魔法使い )
B4 Im Frühlingsanfang, K. 597 (春)
B5 Das Lied Der Trennung, K. 519 (別れの歌 )
B6 Die Zufriedenheit, K. 349 (満足)
B7 An Chloe, K. 524 B8 Sehnsucht Nach Dem Frühling, K. 596(クローエに)

エリザベート・シュヴァルツコップフ/ヴァルター・ギーゼキング

そんなわけで、
アルバムを通して聴いてみよう。

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