村上RADIO特別版 戦争をやめさせるための音楽 答合わせ

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Murakami Radio Music To Put An End To War

村上春樹氏自身がDJを務めるTOKYO FMのラジオ番組、
ロシアのウクライナへの侵攻を受けて放送の『村上RADIO特別版 戦争をやめさせるための音楽』。

所有するレコードやCDから反戦や命の尊さを訴える作品を約10曲選んで、
背景となった社会情勢や自ら訳した歌詞と共に紹介するというものだった。

結局、
流れたのは11曲。

ボクが事前につくった『10 Anti-War Songs(vs 村上RADIO特別版)』とは、
随分と異なる選曲だったけどなかなか面白かった。

そんなわけで、
番組で流れた曲を順番に紹介して答え合わせしてみようと思う。

James Taylor – Never Die Young

We were ring-around-the-rosy children
They were circles around the sun
Never give up, never slow down
Never grow old, never, ever die young…

わたしたちはバラの輪っかの子供だった
彼らは太陽の周りの輪っかだった
決してあきらめないで減速しないで
年老いないで決して若くして死なないで…

1曲目に登場したのはジェームス・テイラー、
1988年のアルバム『Never Die Young』のタイトル曲。

確かに村上氏が言うように、
素敵な歌だ。

ラジオで流れたのは、
2005年の『Higher Ground Hurricane Relief Benefit Concert』のヴァージョン。

ただこのライヴのヴァージョンが見つからなかったので、
2007年のアルバム『One Man Band』のライヴ音源で。

歌詞の最初に出てくる『ring-around-the-rosy children』、
これは『Ring-a-Ring-o’ Roses』という遊び歌で遊んでいた子供だったってことなんだろうね。

Ring-a-Ring-o’ Roses,
A pocket full of posies,
Atishoo! Atishoo!
We all fall down.

Ring-a-Ring-o’ Roses

バラの輪っか
ポケット一杯の花束
ハクションハクション
みんな倒れちゃう

これって、
ペストのことを唄ったという説もあるみたい。

そういう説もあることがわかると、
なんとなくそんな風にも思えてくる。

Weavers – Last Night I Had the Strangest Dream

Last night I had the strangest dream
I ever dreamed before
I dreamed the world had all agreed
To put an end to war…

Ed McCurdy – Last Night I Had the Strangest Dream

ゆうべとても不思議な夢を見たんだ
今まで見たこともない夢だったよ
なにしろ世界中が戦争をしないことに合意したんだ…

2曲目はザ・ウィーヴァーズのカーネギーホールでのライヴ盤、
1963年『The Weavers At Carnegie Hall Vol. 2』の中の1曲。

元々は1950年のエド・マッカーディの曲で、
最初に吹き込んだのはこのザ・ウィーヴァーズを率いたピート・シガー。

1956年のアルバム『Love Songs for Friends & Foes』で登場、
その後に多くのカヴァーが誕生している。

ラジオの中でも語られていたけれど、
曲がつくられた1950年といえば朝鮮戦争が始まって東西冷戦が本格化した年。

不思議な夢は今でもまだ夢のまんまで、
夢はいつまで経っても夢でしかないのかもしれない。

Dirty Dozen Brass Band feat. Bettye LaVette – What’s Happening Brother

Hey baby, what’cha know good
I’m just gettin’ back, but you knew I would
War is hell, when will it end
When will people start getting together again
Are things really getting better, like the newspaper said
What else is new my friend, besides what I read?…

Marvin P Gaye/James Nyx Jr. – What’s Happening Brother

よお良い知らせだぜ
やっと帰ってきたんだ
知っての通り戦争ってやつは地獄なんだけどいったいいつ終わるんだい?
いつになったらまたみんなで楽しくやれるのさ?
全ては良くなっているって新聞に書いてある通りなのかい?
オレの読んだもの以外もどうせいつものことなんだろ?…

3曲目はダーティー・ダズン・ブラス・バンド、
ベティ・ラヴェットをフューチャーした曲。

マーヴィン・ゲイ1971年の同タイトルのアルバムを彼らなりに解釈した、
2006年の『What’s Going On』の中の1曲。

もちろん、
オリジナルにもこのアルバムに入っている。

戦争という地獄の中で人を殺して戻ってきて、
人を殺しちゃいけない社会で戦地でのことはなかったことにして再び生活するなんて無理な話だ。

戦争を体験していなくたって、
ほんの少しだけなら何となく想像できる。

もちろんそれは想像でしかないし、
実際はそんな軟なレベルでないこともわかっているけど。

帰還兵を題材にした映画、
いろいろあるよね。

『Born on the Fourth of July』とか『Taxi Driver』とか、
『The Deer Hunter』とか…いずれも胸が痛む作品だ。

Bruce Springsteen – War

War, huh Yeah!
What is it good for?
Absolutely nothing, uhuh…

Barrett Strong/Norman Whitfield – War

戦争だぜ
何か良いことでもあるのか?
全くもって何もありゃしないさ…

4曲目はブルース・スプリングスティーン&ザ・E・ストリート・バンド、
1986年のライヴ・アルバム『Live/1975–85』の中の1曲。

シングルでリリースもされていて、
Billboard Hot 100では8位になっている。

この曲のオリジナルは、
もちろんエドウィン・スター1970年の大ヒット曲だ。

Billboard Hot 100では1位、
年間でも5位。

元々はテンプテーションズがシングル・リリースするはずだったけど、
大人の事情でボツになってしまう。

ただ1970年のアルバム『Psychedelic Shac』には収められているから、
なかったことにはしなかったのだ。

結局エドウィン・スターが代わりに唄ってシングル・リリース、
世界的ヒットの上にグラミー賞で最優秀男性R&Bヴォーカル・パフォーマンスを受賞している。

そして大人の事情は、
彼にとってはかなりラッキーだったということだ。

さて、
戦争に何か良いことなど全くありゃしないのか?

実はそんなことはなくて、
ある種の人々にとってはラッキーだったりするに違いない。

だから、
戦争はなくならないのだろう。

Eddy Grant – Living On The Frontline

Oh you got me
Living on the front line
Oh you got me mama
Living on the front line…

Eddy Grant – Living On The Frontline

やられたぜ
オレは最前線で生きているんだ
恐れ入ったぜママ
最前線で生きてるなんてさ…

5曲目はエディ・グラント3枚目のアルバム、
1978年の『Walking on Sunshine』の中の1曲。

ファンクと、
レゲエの融合と言ったところか。

Stop this Brother killing Brother 
Over in our-land in Africa

アフリカの自分たちの土地で
同胞同士殺し合うのなんて止めようぜ

そんな音に乗せられている歌詞は、
結構激しい。

最前線で生きるなんて、
まっぴらごめんだ。

でも、
そんなまっぴらごめんの人々がまっぴらごめんの目に遭わされたりするのだ。

Stevie Wonder – Blowin’ In The Wind

How many roads must a man walk down
Before you call him a man?

Bob Dylan – Blowin’ In The Wind

どれくらいの道を歩めば
一人前の男にみなされるんだろう…

6曲目は1993年にリリースされたライヴ・アルバム、
『The 30th Anniversary Concert Celebration』の中の1曲。

もちろん30周年は、
ボブ・ディラン30周年。

オリジナルはボブ・ディラン2枚目のアルバム、
1963年の『The Freewheelin’ Bob Dylan』の中に収められている。

ピーター・ポール&マリーのカバーが世界的にヒットして、
ディランを一躍有名にした曲だ。

この曲をスティービー・ワンダーが最初にカヴァーしたのは、
1966年のこと。

その時彼は、
まだ16歳そこそこだった。

彼の5枚目のアルバム『UP Tight』の中に入っているんだけど、
16歳で5枚目のアルバムっていうのはやはりスゴイ。

ちなみに一緒に唄っているのは、
プロデューサーの1人であるクラレンス・ポール。

ボブ・ディランが、
1962年にこの歌についてこんなことを言っている。

The answer is blowing in the wind.
It ain’t in no book or movie or TV show or discussion group.
Man, it’s in the wind —
and it’s blowing in the wind.

Bob Dyran(From Sing Out !)

答は風の中にあって本にも映画にも討論会にもない、
風の中にでしかも風に吹かれている。

それを拾い上げられる、
そうありたいものだ。

Peter, Paul and Mary – Cruel War

The Cruel War is raging, Johnny has to fight
I want to be with him from morning to night
I want to be with him, it grieves my heart so
Won’t you let me go with you?
No, my love, no…

Noel Paul Stookey/Peter Yarrow – Cruel War

残酷な戦争が激しさを増して
ジョニーは戦いに行かなければならない
朝から晩までずっと一緒に居たいのに
一緒に居たいのにとっても悲しい
私も一緒に連れていって
ダメだよそういうわけにはいかないんだ…

7曲目はピーター・ポール&マリー、
1962年の1stアルバム『Peter, Paul and Mary』の中の1曲。

戦争の悲しみを、
男女の関係から表現したスタイルの曲の1つだね。

元々この曲は古くからあったもので、
南北戦争の頃には既に唄われていたという話もある。

戦争に行っても良いから、
あなたと離れたくないなんて本気で言われたら実はちょっと怖いかもしれない。

The Doors – Unknown Soldier

8曲目は、
唯一被った曲。

こちらで、
どうぞ。

Jack Johnson – Imagine

Imagine there’s no Heaven
It’s easy if you try
No Hell below us Above us only sky
Imagine all the people
Living for today…

John Lennon – Imagine

想像してごらん天国なんてないんだって
その気になれば案外簡単だろ?
ボクらの下には地獄もないし上にあるのは空だけさ
想像してみなよみんなが今日を生きているって…

9曲目のオリジナルはジョン・レノン、
1971年の『Imagine』のタイトル曲。

この曲を持ってくるとは思わなかったけれど、
そこはジョン・レノンではなくてジャック・ジョンソンのヴァージョンだったりする。

2007年のアルバム、
『Instant Karma: The Amnesty International Campaign To Save Darfur』の中の1曲。

このアルバムはオノ・ヨーコの協力のもと、
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが主宰するキャンペーンの一環で制作されたもの。

アフリカのスーダン西部、
ダルフール地方の避難民救済の為のチャリティ・アルバム。

想像することは誰にでもできるけれど、
それはそのままほぼ想像で終わってしまう。

想像が行動になった時、
何か少しは違ってくるのかもしれないけれど。

でも想像を行動に移すのはなかなか難しいし、
仮に行動に移すことができても上手くいくわけじゃあない。

Brian Wilson – Love And Mercy

I was sittin’ in a crummy movie with my hands on my chin
Oh the violence that occurs seems like we never win
Love and mercy that’s what you need tonight
So, love and mercy to you and your friends tonight

Brian Wilson – Love And Mercy

ボクは頬杖をついて薄汚い映画館に座っていた
映し出された暴力に絶対にボクたちは勝てそうにない
愛と慈悲それが今夜君に必要なもの
愛と慈悲今夜キミとキミの友達へ

10曲目は1995年に同名映画のサントラとして制作されたアルバム、
『I Just Wasn’t Made For These Times』の中の1曲。

元々は、
ソロ・アルバム『Brian Wilson』で登場した曲だ。

それにしてもこの人は、
本当に美しい曲を書くよね。

この曲は『What the World Needs Now Is Love』の影響を受けた、
と本人が語っている。

ハル・デヴィッド作詞、
バート・バカラック作曲。

1965年、
ジャッキー・デシャノンのシングル。

ブライアン・ウイルソンは世界は愛だけではなくて、
慈悲も同時に必要だと加えたわけだね。

愛だけじゃあダメなのか?
慈悲が必要なのか?

必要でしょう?
愛だけで良いなんていうのは浮かれている時だけだ。

Herbie Mann – Amazing Grace

I once was lost but now I am found
Was blind, but now I see…

Amazing Grace

かつては迷ったけれど今は見つけることができた
かつては盲目だったけれど今なら見える…

最後に流れたのはハービー・マン、
1992年のアルバム『Deep Pocket』の最後を飾る曲。

ピアノとヴォーカルは、
レス・マッキャン。

元々は、
イギリスの牧師ジョン・ニュートン の作詞による賛美歌。

『Faith’s Review and Expectation”(信仰の反省と期待)』という原題で、
『オウルニィの讃美歌集』の第1巻の41番目の曲として1779年に収録されたのが始まり。

黒人奴隷貿易に関わった悔恨と、
にも拘らず赦しを与えて下さった神の愛への感謝が歌われている。

数えきれないほどのヴァージョンがあるけど、
このヴァージョンはなかなか良い。

Never forget that everything Hitler did in Germany was legal

番組の中で最後の言葉として紹介されたのが、
マーティン・ルーサー・キング牧師の言葉。

Never forget that everything Hitler did in Germany was legal
ヒットラーがドイツでおこなった行為はすべて合法的だった そのことを決して忘れてはならない

村上氏は、
こう解釈した。

個人の自由を脅かす可能性を持つ法律のもとでは
個人の自由はまず間違いなく合法的に奪われていくだろう

肝に銘じたい、
と思う。

というわけで…

2022/3/18に放送された、
『村上RADIO特別版 戦争をやめさせるための音楽』の答合わせ。

ボクの10 Anti-War Songs(vs 村上RADIO特別版)と被る曲はないだろうと思った通り、
ドアーズの『Unknown Soldier』以外は1曲も被らなかった。

それはそれで、
良かった良かったなのだ。

同じじゃあ、
全然面白くないもんね。

CCRは被るかと思ったけど、
これは予想外れ。

ブライアン・ウイルソンの曲は、
なるほどという感じ。

それ以外は、
まあ好みの問題だ。

いずれにしても、
結構面白かった。

誰かとテーマを決めて選曲して、
聴き合って話せたらなかなか楽しいかもしれないとふと思った。

こちらもどうぞ

それで、
先につくった『10 Anti-War Songs(vs 村上RADIO特別版)』こちらからどうぞ。

まとめPlaylist


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