ビートルズ – ペニー・レイン

The Beatles - Penny Lane

「ペニー・レイン」を(それもサビ抜きで)口ずさむことを別にすればこれといった欠点はなかった。

女の事務員をやとい、
雑用や経理や連絡を任せた。
ビジネス・スクールを出たばかりの足の長いよく気がつく女の子で、
一日に二十回も「ペニー・レイン」を(それもサビ抜きで)
口ずさむことを別にすればこれといった欠点はなかった。

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女の子は中央のDKに座り、
「ペニー・レイン」を歌いながら帳簿を整理したり、
オン・ザ・ロックを作ったり、
ゴキブリ取りを組み立てたりした。

―村上春樹,1973年のピンボール

一日に二十回も『Penny Lane』を口ずさむのは、
果たして欠点なんだろうか?

両A面シングルのもう1曲の『Strawberry Fields Forever』だったら良いんだろうか?
それともサビもちゃんと歌ってくれたら良いんだろうか?

ジョンの複雑なアーティスティックな曲と、
わかりやすいポップなポールの曲の対照的なシングル。

どちらも子供時代の思い出を唄っているわけだけど、
この違いはなかなか興味深い。

それが『僕』と『鼠』の対比を示している、
なんて考え方もあるかもしれない。

まあいずれにせよ『Penny Lane』をサビ抜きで歌う彼女は、
それだけで魅力的だ。

多分ボクだったら、
それだけで好きになってしまうかもしれない。

でも『僕』は、
そうはいかないみたいだけど。

The Beatles – Penny Lane

ここで出てくる『Penny Lane』は、
1967年にリリースされた『Strawberry Fields Forever』と両A面のシングル。

UK Singles Chartでは2位、
US Billboard Hot 100では1位になっている。

書いたのは、
もちろんポール。

ピッコロ・トランペットのソロは、
デヴィッド・メイスン。

ポールがBBC放送で、
J.S.バッハの『ブランデンブルク協奏曲』の彼の演奏を聴いて招いて吹き込んだもの。

Penny Lane is in my ears and in my eyes
There beneath the blue suburban skies
I sit, and meanwhile back…

Lennon-McCartney – Penny Lane

ペニー・レインはぼくの目と耳に焼き付いているんだ
あの郊外の青い空の下
ぼくは座って思い出しているのさ…

このサビの部分を、
彼女は唄わないのだ。

サビの部分だけを唄う女の子と、
サビは唄わない女の子とだったらやはり歌わない女の子に惹かれたりするものなのだ。

ブランデンブルク協奏曲

ポールが聴いたブランデンブルク協奏曲は、
J.S.バッハが作曲した6曲からなる合奏協奏曲集。

1721年にブランデンブルク=シュヴェート辺境伯、
クリスティアン・ルートヴィヒに献呈されたのでこのタイトル。

自筆譜にはフランス語で『Six Concerts Avec plusieurs Instruments』、
『いくつもの楽器による六曲の協奏曲』と記されている。

Johann Sebastian Bach : Six Concerts Avec plusieurs Instruments

第1番 ヘ長調 BWV1046
第2番 ヘ長調 BWV1047
第3番 ト長調 BWV1048
第4番 ト長調 BWV1049
第5番 ニ長調 BWV1050
第6番 変ロ長調 BWV1051

デヴィッド・メイスンが参加している、
このブランデンブルク協奏曲の演奏がある。

もちろん、
ポールが聴いたものではない。

1969年にリリースされた、
イギリス室内管弦楽団のものだから『Penny Lane』よりも後のもの

ビートルズ – ペニー・レイン 関連 Play List

01 ビートルズ – ペニー・レイン
02 ビートルズ – ストロベリー・フィールズ・フォーエバー
03 ビートルズ – ペニー・レイン(オルタネイト・ミックス)
04 イギリス室内管弦楽団 – ブランデンブルク協奏曲第1番 ヘ長調 BWV1046 1-4楽章
05 イギリス室内管弦楽団 – ブランデンブルク協奏曲第2番 ヘ長調 BWV1047 1-3楽章
06 イギリス室内管弦楽団 – ブランデンブルク協奏曲第3番 ト長調 BWV1048 1-3楽章
07 イギリス室内管弦楽団 – ブランデンブルク協奏曲第4番 ト長調 BWV1049 1-3楽章
08 イギリス室内管弦楽団 – ブランデンブルク協奏曲第5番 ニ長調 BWV1050 1-3楽章
09 イギリス室内管弦楽団 – ブランデンブルク協奏曲第6番 変ロ長調 BWV1051 1-3楽章

【1973年のピンボール】で流れる他の音たちはこちら!

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