12曲目5枚のレコード
村上春樹『古くて素敵なクラシック・レコードたち』で流れる音たち、
12曲目はベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」イ長調作品47。
ヴァイオリニスト、
ロドルフ・クロイツェルに献呈された曲。
ただ、
元々は他の人に献呈されるはずだった。
その相手とは、
ジョージ・ブリッジタワー。
当初の献辞は、
『Sonata per uno mulaticco lunatico(気分屋の混血のためのソナタ)』。
初演は、
1803年。
ベートーヴェンのピアノ、
ブリッジタワーのヴァイオリンで行われている。
その後ブリッジタワーが、
ベートーヴェンが大切にしていた女性を侮辱して怒らせてしまったらしい。
そのことで、
ベートーヴェンは献呈を取り下げてしまったそうだ。
ただ、
献呈し直されたクロイツェルは結局この曲を1度も演奏しなかったみたい。
レフ・トルストイの小説に、
1889年に出版された『クロイツェル・ソナタ』という作品がある。
この作品は、
この曲に触発されて執筆されたものだ。
嫉妬心にかられ、
妻を殺してしまった夫の悲劇が描かれている。
ヤナーチェクはこの小説に刺激を受けて、
弦楽四重奏曲第1番『クロイツェル・ソナタ』を作曲している。
構成
曲の構成は3つの楽章から成っていて、
こんな感じ。
第1楽章
アダージョ・ソステヌート – プレスト
イ長調 – イ短調
4分の3拍子 – 2分の2拍子
序奏付きソナタ形式
第2楽章
アンダンテ・コン ・ヴァリアツィオーニ
ヘ長調
4分の2拍子
主題と4つの変奏曲
第3楽章
プレスト
イ長調
8分の6拍子
ソナタ形式
ゲオルク・クーレンカンプ / ヴィルヘルム・ケンプ
Kulenkampff/lKempff-
Beethoven:
Violin Sonata No.9 in A Major, Op.47 “Kreutzer”
1935年
ヴァイオリン:ゲオルク・クーレンカンプ
ピアノ:ヴィルヘルム・ケンプ
ヘンリク・シェリング / アルトゥール・ルービンシュタイン
Szeryng/Rubinstein-
Beethoven:
Violin Sonata No.9 in A Major, Op.47 “Kreutzer”
1958年
ヴァイオリン:ヘンリク・シェリング
ピアノ:アルトゥール・ルービンシュタイン
イングリット・へブラーと組んだ演奏にも触れられているので、
そちらも一緒に。
Szeryng/Haebler-
Beethoven:
Violin Sonata No.9 in A Major, Op.47 “Kreutzer”
アルテュール・グリュミオー / クララ・ハスキル
Grumiaux/Haskil-
Beethoven:
Violin Sonata No.9 in A Major, Op.47 “Kreutzer”
1956年
ヴァイオリン:アルテュール・グリュミオー
ピアノ:クララ・ハスキル
ユーディー・メニューイン / ルイス・ケントナー
Menuhin/Kentner-
Beethoven:
Violin Sonata No.9 in A Major, Op.47 “Kreutzer”
1950年代前半
ヴァイオリン:ユーディー・メニューイン
ピアノ:ルイス・ケントナー
ハイフェッツ(Heifetz)/スミス(Smith)
Heifetz/Smith-
Beethoven:
Violin Sonata No.9 in A Major, Op.47 “Kreutzer”
1960年
ヴァイオリン:ヤッシャ・ハイフェッツ
ピアノ:ブルックス・スミス
ここでは一緒に、
バッハの『二つのヴァイオリンのための協奏曲』について言及されているのでそちらもどうぞ。
Heifetz/Friedman/Sargent-
Bach:
Concerto for 2 Violins, Strings and Continuo in D Minor BWV 1043
1961年
ヴァイオリン:ヤッシャ・ハイフェッツ
ヴァイオリン:エリック・フリードマン
指揮:サー・マルコム・サージェント
演奏:ロンドン新交響楽団
というわけで…
今回の村上春樹、
『古くて素敵なクラシック・レコードたち』で流れる音楽。
12曲目は、
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第9番「クロイツェル』イ長調 作品47をお届けしました。
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