Muddy Waters – I Want To Be Loved
June 7, 1963 1st Single(UK)
A:Come On
(Chuck Berry)
B:I Want to Be Loved
(Willie Dixon)
さて、
ストーンズがカヴァーしたオリジナル曲。
今回は、
前回の1stシングル『Come On』のB面になった曲。
ウィリー・ディクスンの作品で、
『I Want To Be Loved』。
最初にレコーディングしたのは、
もちろん1955年のマディ・ウォーターズ。
B面『My Eyes (Keep Me In Trouble)』とのカップリングで、
この年の一発目のシングルとしてリリースされた曲。
ウィリー・ディクスンとマディ・ウォーターズは、
ある意味戦後のシカゴ・ブルースを形成した最重要コンビと言っても良いだろうね。
ストーンズのカヴァーを先に聴いた人たちは(ボクもそうだったけど)、
あまりのスロウ・テンポに違和感を感じるかもしれない。
オリジナルは、
亀のようにゆっくりと唄われる。
それはそれで悪くはないけれど、
最初に聴いたイメージとギャップが大きくて最初は少し戸惑う。
ちなみにこれとは全く別のヴァージョン『I Want To Be Loved #2』があって、
そちらの方は結構テンポが速くなっている。
まるでストーンズを、
逆カヴァーしたかのような感じだ。
このヴァージョンは、
1977年リリースのアルバム『Hard Again』に入っている。
ジョニー・ウィンターと組んだアルバムで、
彼のサポートでこれを含めて最後の3枚のアルバムをリリースしている。
この『#2』は、
最初のレコーディングから20年以上もの時を経て唄われたものだ。
テンポ的には亀の方が時間を経てゆっくりになった感じだけど、
そんなことはなくてオリジナルの方がかなりゆったりなのだ。
The Rolling Stones – I Want To Be Loved
それで、
ストーンズのカヴァー。
先ほども書いたけど、
オリジナルに比べるとかなり早いテンポだ。
でもそのことで、
ある意味非常にポップな感じに仕上がっている。
ただ、
少しばかり軽いかな。
ミックの声も相まって、
その軽さが良いんだろうけど。
他のカヴァー
これなんかどう?
ブラック・ストーン・チェリー2017年のEP『Black To Blues』からだ。
結構ハードなんだけど、
うるさい感じは全くない。
この曲、
案外ハードな感じが合う曲だなとこのヴァージョンで思った。
というわけで…
マディ・ウォーターズ、
1955年と1977年の2つのヴァージョン。
そして1963年ストーンズのカヴァー、
2017年のブラック・ストーン・チェリーで『I Want To Be Loved』。
好みでいえば、
マディの『Hard Again』ヴァージョンがテンポと重さがちょうど良い感じかも。
そして、
意外にブラック・ストーン・チェリーが良い。
個人的には、
この曲に関して言えば何となくミックの声じゃあないなという気がする。
ミックの声といえば、
ある本の1フレーズが蘇る。
村上龍、
1980年の『コインロッカー・ベイビーズ』。
ハシはある実験をしようとしている。
村上龍 – コインロッカー・ベイビーズ
昔何かの本で読んだ。
ローリングストーンズの本だ。
ある偶発的な事故の後、ミック・ジャガーの声が変わった。
その事故以来ミック・ジャガーはあの官能的な声を獲得した。
ここに出てくる『ローリングストーンズの本』が本当にあるのか?
偶発的な事故で声が変わったのは真実なのか?はわからない。
ただ、
未だに時々ストーンズを聴いていると蘇るシーンなのだ。
ハシはこのあと、
鋏で自分の舌の先を切ることになる。
そんな官能的なミックの声だとしても、
この曲は何かやはり合わないと個人的には思ったりする。
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