芝刈りをする時のテーマ曲
ラジオのスイッチを入れ、ダイヤルを回して適当なディスク・ジョッキーを探した。
―村上春樹-午後の最後の芝生
スリー・ドッグ・ナイトの「ママ・トールド・ミー」が出てきたところでダイヤルを止め、
あおむけに寝転んでサングラスを通して木の枝と、そのあいだから洩れてくる日の光を眺めた。
芝を刈ってひと休みしてくすの木の影に座ってアイスコーヒーを飲んで、
ラジオから流れてくる『Mama Told Me Not to Come』をあおむけに寝転んで聴く。
ウン、
悪くない。
芝刈りをする時のテーマ曲にしても、
きっと誰も文句は言わないだろう。
今度の夏にまだくたばってなければ試してみよう、
さぞや気持ちが良いことだろう。
ただ飲み物はアイス・コーヒーではなく、
やはりビールが良いな。
Mama Told Me(Not to Come)
さてこの『Mama Told Me(Not to Come)』は、
元々はランディ・ニューマンがエリック・バートンの為に書いた曲だ。
シングルでリリースされるはずだったけれど、
結局は1967年のエリック・バートン&アニマルズのアルバム『Eric Is Here』に収録された。
ここでの『&アニマルズ』は、
それまでのメンバーではない。
なにしろ最初のアニマルズは、
前年の1966年に解散しているからね。
参加しているのはナッシュビル・ティーンズのドラマーだったバリー・ジェンキンス(もちろん映画監督の人じゃあない)、
そしてベニー・ゴルソン・オーケストラとホレス・オット・オーケストラだ。
ランディ本人もその後1970年にレコーディングしていて、
ライ・クーダーやクラレンス・ホワイトなどの豪華なメンバーが脇を固めている。
このアルバムのフロント・カバーの写真がなかなか良い感じで、
ポスターがあったら部屋に貼りたいくらいだ。
Three Dog Night – Mama Told Me Not to Come
そんなわけでエリックのものもランディのものももちろん良いんだけど、
ここははやはりスリー・ドッグ・ナイトなんだな。
ちなみにこのバンド名はオーストラリアに入植した白人が、
あまりの寒さに毛布代わりに犬を抱いて寝たことに由来する『Five dogs night』からきているみたいだ。
ヴォーカルが三人だから、
スリー・ドッグ・ナイトなんだろうか?
でもバンドとしては、
7人だったんだよな。
まあそのあたりは良いとして、
この人たちってヴォーカルの3人が歌いたい曲を各々持ち寄って全員OKだとレパートリーになるという民主主義的なものだったらしい。
オリジナルというよりは、
誰かの曲を持ってきてカバーして唄うことが多かったからね。
それで多くのヒット曲を生み出したんだから、
ある意味そういった曲を探す能力に長けていたのかもしれない。
というわけで、
スリー・ドッグ・ナイト1970年リリースの『Mama Told Me Not to Come』だ。
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