チャーリー・パーカー – ジャスト・フレンズ

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チャーリー・パーカーの『ジャスト・フレンズ』を聴きながら…

僕は窓を閉め、
カセット・テープでチャーリー・パーカーの『ジャスト・フレンズ』を聴きながら、
『渡り鳥はいつ眠る?』という項を訳し始めた。

―村上春樹,1973年のピンボール

カセット・テープ

前回のスタン・ゲッツもそうだけど、
チャーリー・パーカーも『僕』はカセット・テープで聴いている。

確かにある時代、
音楽はカセット・テープによって奏でられていた。

もちろんレコードだってあったけれど、
カセット・テープで聴くことが多かった。

CDでもなければiPodでもないし、
iPhoneでもない。

この時代、
音楽を気軽に外に持ち出すことはできなかった。

まあラジカセはあった時代だから、
厳密には持ち出せなかったわけではない。

ただ気軽に持ち出して、
持ち歩けるようになったのはもう少し後のこと。

1979年、
ウォークマンの出現を待たなければならない。

あれは画期的だったけど、
今じゃあ携帯電話でいくらでも音楽が聴ける。

便利になった、
と言えば確かにそうだ。

それは、
悪くない。

選択肢がなくなって画一的になったわけでもなし、
全くもって悪くない。

渡り鳥はいつ眠る?

ところで、
パーカーを聴きながら『渡り鳥はいつ眠る?』という項を訳し始めた『僕』。

確か渡り鳥は地球半周分くらいの長距離を、
何日間も飛び続けることができるはずだ。

グンカンドリの飛行中の脳波を調べた研究を、
2016年英科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)』で発表読んだことがある。

対象になったそのグンカンドリは、
3000キロもの距離を休むことなく飛び続けた。

無線で送られてくる飛行中の脳波を調べると、
日中は覚醒した状態だそうだ。

まあ、
それはそうだろう。

でも日が沈むと、
時々徐波睡眠に入ることがわかった。

徐波睡眠は最長で数分間、
しかも脳の半球ではなく脳全体に見られたそうだ。

深い眠りをノンレム睡眠というけど、
ノンレム睡眠はステージ1~4までの4段階に分かれる。

そのうち特に熟睡度が高いステージ3~4は、
独特の脳波の形をしているので徐波睡眠と呼ばれている。

っていうことは、
このグンカンドリは短い時間に完全に熟睡しながら飛ぶことを繰り返していたということになる。

眠っていても、
飛行機の自動飛行モードみたいに勝手に飛んでいるんだからこれはスゴイ。

渡り鳥には渡り鳥の、
人間では考えられない特殊な能力を持ってのだ。

人間には人間の、
人間の中でもそれぞれきっとその人なりの特殊能力ってやつがきっとあるんだろう。

その特殊が、
どう特殊なのかは別にしてもだ。

ただそれをわかっている人と、
わからなままな人とに分かれるのかもしれない。

Just Friends

さて、
この曲は1931年にジョン・クレナーとサム・M・ルイスが書いたもの。

Charlie Parker With Strings

チャーリー・パーカーの『Just Friends』は、
1950年にリリースされた78rpmシングルのA面。

B面は、
マット・デニスとトム・アデアの書いた『Everything Happens To Me』。

同じ年にリリースのアルバム、
『Charlie Parker With Strings』の最後を飾る曲。

このアルバムで演奏しているのは、
ベースがレイ・ブラウンでドラムズがバディ・リッチ。

ピアノがスタン・フリーマンで、
ブロニスワフ・ギンペルとマックス・ホランダーがヴァイオリン。

フランク・ブリエフがヴィオラで、
フランク・ミラーのチェロ。

あとはオーボエとイングリッシュ・ホーンがミッチ・ミラー
ハープがメイヤー・ローゼン。

インストメンタルでは、
サミー・ケイが最初(1939年『Friends Medley』)だけどメドレーの中の1曲。

単体としては、
このパーカーのものが最初みたいだ。

Red McKenzie & His Orchestra

それでこの曲を初めてリリースしたのは、
曲が書かれた1931年。

レッド・マッケンジー楽団で、
もちろんマッケンジーが唄っている。

78rpmシングルA面だったけど、
ヒットはしなかった。

ちなみにB面はハロルド・アダムソンとマック・ゴードン、
ヴィンセント・ユーマンスが書いた『Time on My Hands』。

Covers

当然この曲はかなりの人たちが歌やインストでカバーしているから、
挙げだしたらキリがない。

その中からインストもので、
オスカー・ピーターソン・トリオ。

これは、
1971年『Walking The Line』の収録曲。

かなり、
速い速い。

そして、
その速さがなかなか良いのだ。

歌ものだと、
スキャットマン・ジョンことジョン・ラーキンのカバーが結構良い。

彼の死後2001年リリース、
吹き込まれたのは1990年の『Listen to the Scatman』の収録曲。

Charlie Parker With Strings – Just Friends 関連 Play List

01 チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス – ジャスト・フレンズ
02 チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス – エブリシング・ハップンズ・トゥ・ミー
03 レッド・マッケンジー & ヒズ・オーケストラ – ジャスト・フレンズ
04 レッド・マッケンジー & ヒズ・オーケストラ – タイム・オン・マイ・ハンズ
05 ザ・オスカー・ピーターソン・トリオ – ジャスト・フレンズ
06 ジョン・ラーキン – ジャスト・フレンズ

【1973年のピンボール】で流れる他の音たちはこちら!

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