モーツァルト

彼女はモーツァルトを弾いた。

彼女はモーツァルトを弾いた。

週に一度、
土曜日の夜、
二人は会った。
そして日曜日には鼠は漠然とした気持ちで一日を過ごし、
彼女はモーツァルトを弾いた。

―村上春樹,1973年のピンボール

そして、
彼女は日曜日の夜には電車に乗ってヴィオラの練習に通っていた。

日曜日の昼間、
2人はどこかに出掛けたりはしなかったんだろうか?

彼女の部屋で、
穏やかな時をただ過ごしていただけなんだろうか?

そういう会い方は、
やがて破綻するものだ。

そして破綻した後で、
その時間がかけがいのないものになったりもするのだ。

村上作品のモーツァルト

村上作品に出てくるモーツァルトのことは、
以前にも何回かに分けて書いたことがある。

シリーズになるくらい、
村上作品にはモーツァルが度々出てくるのだ。

ナゼだろう?
単純にモーツァルトが好きだからというのも薄っぺらい気がするけど案外そんなものかもしれない。

モーツァルトについてだけ語ったわけではないけれど、
こんな文章がある。

シューベルトやモーツァルトみたいに、
あるいはある種の詩人やロック・シンガーのように、
潤沢な才能を短期間に威勢良く使い切って、
ドラマチックに若死して美しい伝説になってしまうという生き方も、
たしかに魅力的ではあるけれど、
我々の大半にとっては、
あまり参考にならない。

―村上春樹,走ることについて語るときに僕の語ること

参考にならないけど、
魅力的ではある。

そんな生き方はできないけど、
そんな生き方をした人が創り出したものに惹かれるのかもしれない。

でもまあ、
答えは作者自身の頭の中にある。

もしかすると、
答えなんか全然ないのかもしれないけど。

モーツァルトとヴィオラ

さて、
以前も書いたけどモーツアルトはヴィオラだけの曲は作曲していない。

そもそもヴィオラのソナタ自体、
メンデルスゾーンのヴィオラソナタ ハ短調 MWV Q 14くらいしかすぐには出てこない。

それだって、
出版されたのは1966年のことだ(作曲は1824年)。

モーツァルト自身は、
ヴィオラを弾いたと言われている。

ヴィオラだけの曲はないけど、
ヴィオラが活躍する曲はいくつもある。

例えばヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲ト長調K.423や、
ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲変ロ長調K.424。

それとヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364とか、
クラリネット・ヴィオラ・ピアノのための三重奏曲変ホ長調 K.498。

あと、
ディヴェルティメント 変ホ長調 K.563。

たまには、
これらヴィオラが活躍する曲をまとめて聴くのも悪くない。

モーツァルトのヴィオラが活躍する曲 関連 Play List

1 ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲ト長調K.423
  Ⅰ Allegro ト長調 4/4 ソナタ形式
  Ⅱ Adagio ハ長調 3/4 三部形式
  Ⅲ Rondo : Allegro ト長調 2/2 ロンド形式
 イツァーク・パールマン(ヴァイオリン)
 ピンカス・ズーカーマン(ヴィオラ)

2 ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲変ロ長調K.424
  Ⅰ Adagio 変ロ長調 4/4 – Allegro 3/4 ソナタ形式
  Ⅱ Andante cantabile 変ホ長調 6/8
  ⅢAndante grazioso 変ロ長調 2/2 変奏形式(主題と6変奏)
 アルテュール・グリュミオー(ヴァイオリン)
 アリーゴ・ペリッチャ(ヴィオラ)

3 ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364
  Ⅰ Allegro maestoso 変ホ長調 4/4 ソナタ形式
  Ⅱ Andante ハ短調 3/4 展開部のないソナタ形式
  Ⅲ Presto 変ホ長調 2/4 ロンド風の自由なソナタ形式
 ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
 キム・カシュカシャン(ヴィオラ)
 ニコラウス・アーノンクール(指揮)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

4 クラリネット・ヴィオラ・ピアノのための三重奏曲変ホ長調 K.498 ケーゲルシュタット
  Ⅰ Andante 変ホ長調 6/8 ソナタ形式
  Ⅱ Menuetto 変ロ長調 トリオはト短調 3/4 三部形式
  Ⅲ Allegretto 変ホ長調 2/2 ロンド形式
 ジェームズ・レヴァイン(ピアノ)
 ヴォルフラム・クリスト(ヴィオラ)
 カール・ライスター(クラリネット)

5 弦楽三重奏のためのディヴェルティメント 変ホ長調 K.563
  Ⅰ Allegro 変ホ長調 4/4 ソナタ形式
  Ⅱ Adagio 変イ長調 3/4 変形ソナタ形式
  Ⅲ Menuetto : Allegretto 変ホ長調 三部形式
  Ⅳ Andante 変ロ長調 主題と4変奏(第3変奏は変ロ短調)
  Ⅴ Menuetto : Allegretto 変ホ長調 三部形式
  Ⅵ Allegro 変ホ長調 6/8 ロンド風ソナタ形式
 ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
 キム・カシュカシャン(ヴィオラ)
 ヨー・ヨ―・マ(チェロ)

【1973年のピンボール】で流れる他の音たちはこちら!

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