ジャンとディーン

Jan and Dean

ジャンとディーンなんて聴かない。

問題は、
と僕は思う、
僕に合った場所が全て時代遅れになりつつあることだった。
仕方のないことだと思う。
なにもアウシュヴィッツや複座雷撃機に遡るまでもない。
もう誰もミニ・スカートなんてはかないし、
ジャンとディーンなんて聴かない。

―村上春樹,1973年のピンボール

自分に合った場所が時代遅れになりつつあるとしたら、
それは周りが変化しただけのことだ。

変わるのは自分じゃあなくて、
周辺が変化していっているだけのことだ。

ボリス・ヴィアンの『L’Écume des jours(日々の泡)』にも、
こんな一文がある。

 Les gens ne changent pas. Ce sont les choses qui changent. 

―Boris Vian,L’Écume des jours

人はそう変わるもんじゃない 変わるのは物事だよ

自分が物事と一緒に変化していかなければ、
そこにズレが生じるのは仕方のないことだ。

そうなると生きていく上で、
居心地が悪いことだってあるだろう。

それはまさに、
仕方のないことなのだ。

ただ、
自分の場所を自分で保とうとすれば少なからず自分に合った場所は確保されるものだと思う。

問題は、
その場所とズレた周辺との間を行き来しなければならないことだ。

境目がわからなくなるかもしれないし、
浸食されて縮小するかもしれない。

それでも、
自分に合った場所を自分で確保しようとするかどうかで随分違ったものになるはずだ。

それは流れに逆らうということではなくて、
切り替えられるかどうかなのではないだろうか。

パチンと切り替えるのは簡単なことではないかもしれないけど、
案外慣れてくればそうでもなくなるものだ。

ちゃんとそういう場所を持っているのなら、
幸いである。

大切なことは、
意識するかどうかだ。

そう言った場所を持てるかどうかは、
意識するかどうかにかかっている。

ジャンとディーン

さて、
ジャンとディーンがデビューしたのは1959年のこと。

1stシングルは、
Billboard Hot 100で10位になった『Baby Talk / Jeanette, Get Your Hair Done』。

ピークはブライアン・ウィルソンが曲を書いてジャンが作詞した、
1963年の『Surf City / She’s My Summer Girl』あたりか。

この曲はBillboard Hot 100の1位になっていて、
その後もブライアン・ウィルソンの曲を何曲も取り上げている。

ブライアン・ウィルソンとジャンとディーン
  • Gonna Hustle You (Berry-Wilson)
  • Surf City (Berry-Wilson)
  • She’s My Summer Girl (Berry-Altfeld-Wilson)
  • Drag City (Berry-Christian-Wilson)
  • Surf Route 101 (Berry-Christian-Wilson)
  • Dead Man’s Curve (Berry-Christian-Kornfeld-Wilson)
  • The New Girl In School (Berry-Christian-Norman-Wilson)
  • Ride the Wild Surf (Berry-Christian-Wilson)
  • Surfin’ Wild (Berry-Christian-Wilson)
  • Move Out Little Mustang (Berry-Christian-Wilson)
  • Sidewalk Surfin’ (Wilson-Christian)

ただジャンが自動車事故を起こして脳を損傷、
右半身麻痺や言語障害など後遺症が残り活動停止を余儀なくされてしまう。

その後、
再起を果たすも活動は低迷したまま。

一応、
活動期間はジャンが亡くなる2004年まで。

ただ既に1973年は、
もうジャンとディーンなんて誰も聴かないって感じだったんだろう。

そこが、
ビーチ・ボーイズとの違いだ。

こればかりは、
本当に仕方がないことだ。

そういえば、
彼らはシングルで『Norwegian Wood (This Bird Has Flown) / I Can’t Wait To Love You』を出していたな。

あと思い出すのは、
ザ・フーが『Ready Steady Who』でカバーした『Bucket “T”』。

1966年『Batman』のB面だった曲で、
これもフーが同じEPで演っている。

Jan and Dean 関連 Play List

01 Jan and Dean – Baby Talk
02 Jan and Dean – Jeanette, Get Your Hair Done
03 Jan and Dean – Surf City
04 Jan and Dean –  She’s My Summer Girl
05 Jan and Dean –  Gonna Hustle You (Berry-Wilson)
06 Jan and Dean –  Surf City (Berry-Wilson)
07 Jan and Dean –  She’s My Summer Girl (Berry-Altfeld-Wilson)
08 Jan and Dean –  Drag City (Berry-Christian-Wilson)
09 Jan and Dean –  Surf Route 101 (Berry-Christian-Wilson)
10 Jan and Dean –  Dead Man’s Curve (Berry-Christian-Kornfeld-Wilson)
11 Jan and Dean –  The New Girl In School (Berry-Christian-Norman-Wilson)
12 Jan and Dean –  Ride the Wild Surf (Berry-Christian-Wilson)
13 Jan and Dean –  Surfin’ Wild (Berry-Christian-Wilson)
14 Jan and Dean –  Move Out Little Mustang (Berry-Christian-Wilson)
15 Jan and Dean –  Sidewalk Surfin’ (Wilson-Christian)
16 Jan and Dean – Norwegian Wood (This Bird Has Flown)
17 Jan and Dean – I Can’t Wait To Love You
18 Jan and Dean – Bucket “T”
19 The Who – Bucket “T”
20 Jan and Dean – Batman’s Theme (“Batman”)
21 The Who – Batman

【1973年のピンボール】で流れる他の音たちはこちら!


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