
村上春樹【風の歌を聴け】で流れる音楽たち
村上春樹デビュー作『風の歌を聴け』は、
1979年群像新人文学賞を受賞した作品。
元々のタイトルは、
『Happy Birthday and White Christmas』。
残念ながらボクはリアル・タイムではこの作品を読んではいなくて、
出会うのはもう少し経ってからのことだった。
この最初のタイトルは出版の際に変更されちゃうわけだけど、
佐々木マキのイラストの表紙のピンクの土星の上にちゃんと生き残っている。
ちなみに勘違いとは恐ろしいもので、
ボクはこの『ピンクの土星』をずっと『ピンクのU.F.O』だと思っていた。
この『Happy Birthday and White Christmas』は、
物語に登場する『僕』の誕生日が12/24だからなのだろうか?
ボクとしてはこの最初のタイトルのままでも良かったのになって思うけれど、
まあ色々な大人の事情やらさまざまな思惑やらアレコレあったのだろう。
まあそれはともかくとして、
村上春樹『風の歌を聴け』で流れる音楽たちだ。
最初は、
この曲から。
Glenn Miller – Moonlight Serenade
『風の歌を聴け』という最初の小説を書いたとき、
―村上春樹,ポートレイト・イン・ジャズ
もしこの本を映画にするなら、
タイトルバックに流れる音楽は『ムーンライト・セレナーデ』がいいだろうなとふと思ったことを覚えている。
そこにはエアポケット的と言ってもいい、
不思議に擬古的な空気がある。
僕の頭の中で、
その時代の神戸の風景はどこかしら『ムーンライト・セレナーデ』的なのだ。
というわけで、
実際物語の中ではこの曲は流れているわけではないがこの文章がある以上ここから始めよう。
この曲はもちろん1939年にグレン・ミラーが作曲した、
スウィング・ジャズの代表曲のひとつ。
元々この曲は、
1935年に『Now I Lay Me Down To Weep』というタイトルの歌詞付きの曲。
それをタイトルを変えて演奏のみにしてリリースしたことで、
大ヒットとなった曲。
『Happy Birthday and White Christmas』を『風の歌を聴け』に改題したのは、
このエピソードに倣っていたりしてね。
この曲を聴くとボクはこの物語よりも、
2004年公開の『スウィングガールズ』を思い出してしまう。
コンクールで最初に演奏した曲だけど、
このコンクールのシーンは今観ても素晴らしいと思う。
何より上野樹里を始めとした役者たちが本当に演奏している姿は、
ある意味感動的なのである。
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